2016 Fiscal Year Research-status Report
臨床看護職者のDV被害女性への対応に関する教育的介入プログラムの開発
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15K11674
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
井上 松代 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (30326508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新城 正紀 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (50244314)
赤嶺 伊都子 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (60316221)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床看護職者 / 教育的介入 / DV被害女性患者への対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者らが開発した「臨床看護職のDV被害女性患者への対応認識尺度」(以下、本尺度)の有効性・有用性を検証することを目的としている。臨床看護職者を対象に、DV被害女性患者の発見・対応するための教育的介入を試行し、その介入前後の評価に、本尺度を用い、効果的な介入プログラムを検討する。また、臨床看護職者のDV被害女性患者への対応経験を調査して、収集した事例を教育介入プログラムに活用する。このような教育的介入(研修会の開催)によって、臨床看護職者のDVに関する認識を高め、医療現場に潜在・顕在するDV被害女性患者への対応実践力向上を目指している。昨年度(平成27年度)は、教育的介入プログラムを作成し、当該年度(平成28年度)は、県内外4病院にて、DV対応事例に関する質問紙調査を実施した。その中で、1病院にて教育的介入(研修会の開催)を実施し、参加した看護職者含む医療者(約80名)に本尺度を用いて、研修会前後のDVに関する認識を評価した。参加者の多くは、教育的介入によって、介入前よりも介入後はDVに関する認識が高まっており、本尺度の有効性・有用性の確認ができた。 また、臨床看護職者のDV被害女性の発見・対応実践力向上のためには、DVの認識を高めるだけでなく、DVスクリーニングの実践により、DVの発見と対応につながることから、分担研究者らが開発した「IPV被害者発見尺度」(以下、DS-IPV)について、研修会で利用方法等を具体的に紹介している。臨床看護職者が、DS-IPVの尺度を用いて、DV被害女性患者のスクリーニングができることを本研究では実践力向上の目標の1つにしている。今後は、代表研究者らが対象施設の看護職者のDVに関する認識と発見・対応の実践力をサポートし、研究を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度(平成28年度)は、分担研究者(新城)らが開発した「IPV被害者発見尺度」(以下、DS-IPV)を用いて、病院の女性患者を対象にDVスクリーニングを実施することを計画していた。しかし、前年度(平成27年度)の研究計画を当該年度(平成28年度)実施へ移行させ、代表研究者らは、精力的に研究推進に取り組んでいたが、教育介入プログラムを実施する協力医療機関との調整に時間を要した。現在も事例の収集に関する質問紙調査を行い、対象施設を増やしながら、教育的介入の実施に向けた準備を進めているところである。これらのことから、研究はやや遅れている状況である。臨床看護職者が、DVを認識し、さらにDVスクリーニングを患者に実施するためには、組織的な取り組みとしての体制作り等に時間を要する可能性があり、引き続き、代表研究者らがサポートしていく必要がある。次年度(平成29年度)に、介入施設の1部署ででも、DS-IPVによるスクリーニング実施ができる看護職者が出現し、DV被害女性の発見・対応の実践者を少しずつ増やす方向で、代表研究者らは、長期的なサポートの実施と、研究の確実な遂行のための管理運営に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の平成29年度は、当該年度(平成28年度)に調査した、臨床看護職者のDV被害女性患者への対応事例をまとめて、学会発表等を行い、看護職者や医療者への公表と事例集を作成する。また、当該年度(平成28年度)に調査を行った対象施設の中で、教育的介入(研修会の開催)を実施していない施設がある。今後は、調査で収集した臨床看護職者のDV被害女性患者の対応事例を用いた教育的介入(研修会の開催)と代表研究者らが開発した、「臨床看護職のDV被害女性患者への対応認識尺度」(以下、本尺度)の有効性・有用性の検証を継続する。また、教育的介入(研修会の開催)により、DV被害女性患者への対応について、臨床現場からの情報を得て、教育的介入プログラムの開発に活かす。さらに、本尺度の利用者を増やし、本尺度の有効性と有用性についての結果を出し、本研究分野の関連学会での発表おおび論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度(平成28年度)の研究費残額(67万円)の理由は、2点である。1つは、当該年度(平成28年度)に、研究分担者とともに海外での本テーマに関連する学会へ参加して情報収集等の計画だったが、実施できなかったことである。この海外での学会に参加できなかった理由は、研究の進捗が遅れて、発表できる成果が得られなかったことと、当該研究に関連した学会の開催に合わせた調整ができなかったことである。2つめは、当該研究で得られたデータの保管に必要な物品の購入が、当該年度内で実施できなかったことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度(平成28年度)に実施できなかった海外の当該研究に関連した学会への参加と情報収集は、次年度(平成29年度)の予算と合わせて実施していく計画を立てており、予算執行予定である。また、当該年度(平成28年度)の研究で得られたデータの保管・管理用物品は、購入計画を立てて、購入している途中である。予算残が生じて、予算執行は遅れているが、確実に研究を遂行できるよう計画・実施していく。
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