2017 Fiscal Year Research-status Report
能動喫煙・受動喫煙の累積喫煙量がもたらす卵巣予備能低下と生活習慣病リスクの評価
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15K11689
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
酒井 ひろ子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (90434927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一友 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30203897)
橋本 富子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (70701861)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣機能 / 受動喫煙 / 更年期 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の女性喫煙率の推移は20歳代が減少傾向を示しているが、30~40 歳代が最も高率で、女性の生涯で生み育てる世代の喫煙率が依然として高く、過去20年間で大きな減少傾向を示していない。 副流煙の暴露を受けた胎児が、胎盤・臍帯を通じて伝播し、胎児催奇形性、低出生体重児、SIDS(乳幼児突然死症候群)などの健康被害を受けることについて、ますます多くのエビデンスが示されてきている。 しかし発達の各段階で受けた副流煙の暴露が将来的な生殖能に及ぼす影響についてのエビデンスは非常に乏しい。 わが国では、高齢出産が増加傾向にあり卵巣機能が低下する年齢層にある女性の能動・受動喫煙による生殖能への健康被害を明らかにすることは重要であり、能動・受動喫煙による早期卵巣能低下に伴う女性の健康への影響について解明することは、女性のリプロダクティブヘルスライツにかかわる健康促進への根拠を提示することができると考える。 さらに受動喫煙による卵巣機能低下を介した生活習慣病への喫煙の影響は未だ解明されていない。受動喫煙と生活習慣病の発症リスクについて、副流煙の暴露による卵巣機能の低下が生活習慣病のリスクに影響することを証明することは、女性の受動喫煙による更年期以降の健康被害を明らかにする新たな試みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力施設で35~55歳までの女性を対象とした調査を実施しているが35~40歳代の対象者数が少なく、追加調査を実施する必要があり、本研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ニコチンがヒトの体内で代謝されるとニコチン代謝産物であるコチニンとなって血液や尿から排泄される。本研究では全ての対象者へ現在の受動喫煙暴露状態を把握することを目的に、尿中コチニン濃度を測定し、アンケート調査での暴露状況との整合性と暴露量を明らかにした。受動喫煙の暴露量は、最終吸入後経過時間によって影響を受けにくい尿中コチニン測定を採用した。アンケート結果と尿中コチニン値との結果から受動喫煙群を明確に判定できる試料であることを確認した。しかし、胎児期からの生涯発達の段階での累積暴露量を評価する検討において、家族喫煙者の喫煙習慣の変化を把握することは困難であった。発達段階のどの時期にどれだけの期間の副流煙の暴露を経験したか、能動喫煙者の人数から累積暴露量を推定し受動喫煙の暴露評価を試みる。さらに能動喫煙と早期閉経の因果関係を推定するエビデンスは既にあるが能動・受動喫煙と早期卵巣機能低下の因果関係についての検討はほとんどされておらず、本研究で得られた結果から示唆を示す準備中である。
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Causes of Carryover |
研究目的を明らかにするために研究対象者のうち30歳代の対象者のデーター数が不足しており、追加調査の必要性が生じた。また研究成果を基にした防炎、禁煙支援に対する計画が半年以上遅れたため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)