2017 Fiscal Year Research-status Report
小児がん救急の実態と看護師の臨床判断―生涯教育プログラム作成を目的とした基礎調査
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15K11696
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前田 留美 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 特任講師 (60341971)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小児がん / 小児がん救急 / 臨床判断 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、小児がん治療施設に勤務する、同一の小児がん救急患者への看護経験のある、臨床経験年数の異なる看護師を対象とし、インタビュー調査を行う予定であった。 小児がん救急患者の年間発症数が1施設あたり年間1例以下であり、対象者のリクルートが非常に困難であった。関東の大学病院各1施設で、臨床経験年数の異なる複数の看護師に小児がん救急患者を発見した時の状況とインタビュー内容についてヒアリングを行う事ができ、今後のインタビューの方略と内容について、ディスカッションを行った。 ヒアリングの結果、小児がん救急の発症はやはり年間1事例程度であり、「呼吸状態が悪くなった、けいれんした」という形でとらえられており、一般的な急変時の臨床判断と対応を行っていること、小児がん救急、という概念はなく、患者の病態から上大静脈症候群などの発症を予測し、予測した起こりうる小児がん救急の病態に沿ったフィジカルアセスメントを行ってはいないことが分かった。 一般的な呼吸抑制、けいれん等に対する臨床判断と対応を実施しているならば、小児がん救急患者に対する特異的な臨床判断の内容は出てきづらいと考え、インタビュー調査は実施しないことにした。同時にヒアリングから「小児がん救急」の病態生理はあまり理解されていない可能性が高く、そのため患者の病態から小児がん救急の発症を予測したフィジカルアセスメントが行われていない可能性が明らかになったため、中部・四国小児がん看護勉強会において「小児がん救急看護の教育プログラム作成の試み」と題した講義を行い、小児がん救急の病態生理、患者への対応について啓蒙を行った。 また、前年度から取り組んでいるがん患者にかかわる看護師の臨床判断について、英文誌に投稿すべく執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査は実施しなかったが、研究期間を延長し、実際の事例ではなく、シミュレーションによって小児がん救急患者への対応時の臨床判断について、インタビューを行う予定である。また、臨床判断に関する論文は次年度発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施できなかったシミュレーションを行った後で看護師の臨床判断について問うインタビュー調査を実施予定である。1施設から協力の承諾を得ている。 さらに臨床判断内容と29年度に実施した小児がん救急の講義内容を踏まえて、教材を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していた米国出張、今年度のインタビュー調査の費用を計上していたが、どちらも計画を変更したため使用額が生じた。この差額は平成30年度に発表予定の看護師の臨床判断を取り上げた英文投稿費用に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)