2015 Fiscal Year Research-status Report

保育園看護師による「気になる子ども」への早期支援を可能にする支援プログラムの構築

Research Project

Project/Area Number	15K11698
Research Institution	Kanazawa University
Principal Investigator	津田朗子金沢大学, 保健学系, 准教授 (40272984)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	木村留美子金沢大学, 保健学系, 教授 (90169946) 福井逸子金沢星稜大学, 人間科学部, 准教授 (60390374)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords	保育園看護師 / 気になる子ども / 発達障害 / 早期支援 / 連携
Outline of Annual Research Achievements	近年、多様化する社会の保育ニーズに対応するため、看護師を配置する保育園は増加傾向にある。しかし保育園看護師の主要業務は健康管理が中心とされ、診断のされていない「気になる子ども」の早期発見や支援においては、これまで保育園看護師が主体的に関与した取り組みはほとんど報告がなかった。そこで、本研究では「気になる子ども」の早期発見・支援における保育園看護師の活動の実態と役割についての課題を明らかにし、保育園看護師による支援プログラムを構築してその効果を検証することにより、保育園看護師が保育園の中で保育士と共に「気になる子ども」への支援を行うための方向性を検討することを目的とした。平成27年度には、石川県内の全認可保育所(園)・認定子ども園、241園に勤務する看護師を対象に、「気になる子ども」への支援内容と看護職者の役割遂行の意識、今後の希望等についての実態調査を行った。その結果、石川県の看護職者配置率は41.9％で、全国の配置率と比較すると若干低く、私立保育園は公立保育所に比べ配置率が有意に低かった。気になる子どもの支援に関しては、看護職者の72.2%が看護職者として十分な役割を取れていないと感じており、他機関との連携を取っている者は76.3%いたが、保護者から発達に関する相談を受けている者は32.0%と低く発達支援に関して看護職者は積極的に関わることが出来ていなかった。また、今後の活動に関する要望として“保育士と協働したい”“フリー配置にしてほしい”などが挙げられ、支援の充実には、多職種間の連携が重要と考えていた。これらの結果を2006年、および2010年に保育園看護師を対象に研究者らが行った調査と比較し、現時点での「気になる子ども」に対する保育園看護師の活動における課題を明確化したうえで、具体的な支援プログラムの作成に取りかかる予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 石川県内の全認可保育所(園)・認定子ども園、241園に勤務する看護師を対象に、「気になる子ども」への支援内容と看護職者の役割遂行の意識、今後の希望についての実態調査を実施したが、支援プログラムの作成する上で必要な課題の検討が十分に行われていない。平成28年度は石川県内の保育園看護師らを含めた検討会を開催し、課題を明確化したうえで支援プログラムの作成に取りかかる予定である。
Strategy for Future Research Activity	1.「気になる子ども」の支援プログラムの作成：実態調査の結果を踏まえ、「気になる子ども」の支援プログラムを作成する。作成にあたっては、石川県内の保育園保健師看護師連絡会および全国保育園保健師看護師連絡会へ結果を報告し、意見交換を行う。 2.支援プログラムを評価するための評価項目の作成：作成にあたっては、「気になる子どものアセスメントツール」を活用（2012年度科学研究費：研究者作成）し、調査協力保育園の協力を得ながら行う。 3.プログラム実施の準備：協力保育園への説明及び看護師への研修（研究者、研究分担者、研究協力者実施）、保育士への研修を実施する。 4. 「気になる子ども」の支援プログラムの実施および評価（2016年10月ころより実施予定）：支援プログラムを一部の調査協力園にて１年間運用する。3か月ごとにデータを集計し、以下の側面から継時的に評価することにより、支援プログラムの効果と支援における保育園看護師の役割を検証する。
Causes of Carryover	石川県内の保育園看護師に対する調査において回収率が当初予測していたよりも低かったため、データ入力に要する人件費が少なくなったことによる。
Expenditure Plan for Carryover Budget	各保育園への結果を報告および意見交換のための交通費などに使用予定である。