2016 Fiscal Year Research-status Report
医療ニーズが高い重症心身障害児者ケアの基盤となる「コミュニケーションモデル」開発
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15K11714
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 朝美 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50384889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 幸美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60175916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 重症心身障害児者 / コミュニケーション / 医療的ケア / 訪問看護 / 日中支援施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、調査1として在宅訪問看護ステーション、調査2として重症心身障害児(者)施設での調査を実施した。 調査1:在宅訪問看護ステーションでは、医療ニーズの高い重症心身障害児の苦痛を母親と看護師がどのように把握しているかを参加観察とインタビューにて調査した。 その結果、訪問看護場面の重症児とのコミュニケーションは母親主導で行われ、 重症児の苦痛の理解において、母親は、子どものいつもと違う様子、同一処置のケアに対する子どもの反応、反応のタイミングと大きさ、専門職と一緒に場面をみて把握していた。また、訪問看護師による重症児の苦痛の理解は、訪問時の感覚と最近の様子を比較して、過去のケアに対する児の反応の相違から、母親の判断を尊重して、母親と一緒にケアを行い反応を見ることを通して把握していた事が明らかになった。 調査2:重症心身障害児(者)通所施設では、医療ニーズの高い重症心身障害者と看護師との交流のフィールドワークを行い、6名の重症者と20名の職員(看護師・福祉職員)とのコミュニケーションのパタンを調査した。その結果、サインの形成、自己表現としてのアピール、苦しさを伝えるコミュニケーションのパターンが明らかになった。 調査1の結果は国際学会にて発表し、調査2の結果は重症心身障害学会にて発表予定である。今後は、この調査を元に作成した医療ニーズの高い重症心身障害児者とのコミュニケーションをモデルを開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、大学研究倫理審査委員会にて承認後、調査施設での研究倫理審査委員会の承認を得た。調査は、調査1として訪問看護ステーション、調査2として日中通所施設でのフィールドワークを5ヶ月間行った。調査2においては、臨床の看護師・保育師・福祉職員と研究チームを組み、親の会の協力を得てフィールドワークを行った。その結果を、看護臨床家や大学院生とディスカッションし、コミュニケーションパターンが見出せた。さらにコミュニケーションパターンについて、フィールドにフィードバックして検討してもらい、さらに精度を高めた。H29年度は学会発表にて批判を仰ぎ、次のステップである医療的ニーズの高い重症児(者)とのコミュニケーションモデル作成を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29・30年度は、フィールドワークをもとに作成したコミュニケーションパタンを学会で発表し、批判を仰ぎ、改良する。また、複数施設でコミュニケーションパタンの調査を実施し、その結果を分析・評価すると共に、モデル化を目指す。また、コミュニケーション研究は国外研究者が多いため、国外の看護専門家ともディスカッションする予定である。H30年度はモデル化の評価を行うため、その教育として看護師へのシミュレーショントレーニングを視野におき、学習準備、機材準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
H28年度は、インタビューデータ処理に関する経費節減ができたため、繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度のモデル化実施時のトレーニングに用いるシミュレーション教育の実際を学ぶための費用、障害児コミュニケーション研究の多い国外の学会参加、国外の看護専門家の意見聴取時の旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)