2016 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーをもつ子どもの発達段階別 教育用ツールの作成
Project/Area Number |
15K11734
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Research Institution | Seisen University |
Principal Investigator |
鈴木 美佐 聖泉大学, 看護学部, 助教 (10633597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
流郷 千幸 聖泉大学, 看護学部, 教授 (60335164)
平田 美紀 聖泉大学, 看護学部, 講師 (90614579)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 子ども / 母親 / 疾患教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食物アレルギーをもつ幼児を養育する母親が、子どもの疾患理解および、療養行動の獲得を目的とする教育を行う際に使用できる『食物アレルギー児の発達段階別 教育用ツール』を作成し、評価することである。 研究の2年目である平成28年度は、昨年度に行った食物アレルギーをもつ幼児の発達段階にあわせた疾患に関する理解と療養行動獲得のための母親による支援内容を明らかにするためのインタビュー内容について、新たに子どもの食物アレルギーの程度(除去が必要なアレルゲンの数、食物アレルギーの症状・アナフィラキシー症状の有無・程度、アナフィラキシーショック様症状の経験の有無等)、誤食経験の有無 に関する視点を加えた質的な分析を追加して実施した。 その結果、幼児前期からアナフィラキシー症状を有する食物アレルギーをもつ子どもの母親は、子どもがアレルゲンを含む食品を誤食しないように家庭内外の身近な環境を整え、子どもを守りながら、食材の買い物の際には、子どもと一緒に食品を選ぶ『わからない時から食べ物を一緒に選ぶ経験』を意識してさせていること、また、”食物アレルギーであること”によって子どもに疎外感を感じさせたり、自己肯定感の低下につながるような状況を作らないように『一緒だけれども違う』ことを伝えながら、アレルギーに関する療養行動をとるための小さな自信を与えることで『子ども自身が選択することへの小さな礎』となるように、日々の中で子どもに疾患や療養行動について伝えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の2年目である平成28年度は、昨年度の分析内容をもとに、具体的な教育用ツールの作成のための検討に取り掛かる予定であった。しかし、昨年度のデータ分析の過程で、食物アレルギー幼児の疾患に関する理解や療養行動獲得状況は、食物アレルギーの重症度や誤食経験内容によって影響を受けていることが考えられた。そのため今年度については、分析にあたる期間を延長し、新たな視点を加えて分析を進めることとした。 そのため当初の研究計画に比べて進捗状況が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、子どもの発達段階に応じた食物アレルギーに関する病気の理解と療養行動獲得を目的とする教育を行う際に使用できる教育用ツール作成に向けて、検討を進めていく予定である。 ツールの具体的な項目の検討にあたっては、本研究課題に関するこれまでの成果に加え、他の慢性疾患をもつ患児の病気認知とその支援に関する先行研究からの知見や、食物アレルギーをもつ子どもと家族への支援に関する専門的知識を有する小児アレルギーエデュケータ-看護師および、小児看護学研究者の意見を得る予定である。 作成予定の教育用ツールが、食物アレルギーをもつ幼児の病気の知識や療養行動を獲得するだけのものではなく、教育用ツールを用いた母子相互の学びのプロセスの中で、子どもの自己肯定感や、母親の育児に関する自己効力感の向上にも貢献するようなものとなるよう、研究計画を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の当初の計画では、平成27年度に実施した食物アレルギーをもつ子どもの母親へのインタビューデータの分析結果に基づき、教育課題を明らかにすることであった。しかし、食物アレルギー児の症状の程度やアナフィラキシーの有無・誤食経験等により、母親の子どもへの教育の視点が異なることが考えられたため、分析の期間を延長し、データを追加して、それらの側面を新たに加える形で研究を進めた。 そのため、平成28年度実施予定であった、教育課題に関する分析検討会については、開催しなかったため、参加依頼者の旅費等が発生せず、経費が予定より少なくなった。 平成29年度については、平成28年度に開催予定であった、分析会を再計画していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に開催しなかった、分析検討会については、食物アレルギー親の会会員の母親、小児アレルギーエデュケーター資格をもつ看護師、小児看護の経験をもつ小児看護学研究者に参加を依頼し、開催する。分析検討会では、これまでの成果をもとにして、食物アレルギーの子どもの発達段階・症状の程度・アレルゲンの種類等を反映させることのできる、教育用ツール試案の作成について、検討することとする。
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