2016 Fiscal Year Research-status Report
急性期治療後の高齢者が転入する後方支援施設での多職種情報共有包括ケアモデルの開発
Project/Area Number |
15K11760
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
丸山 優 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (30381429)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 継続療養 / 情報共有 / 高齢患者 / 療養病床 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、モデルの基盤となる情報収集の方法を明らかにすることを目的に、後方支援施設における転入日のケア実践に関するインタビュー調査の内容から、事故に関する情報収集の方法について分析を行った。データは、関東圏にある1か所の医療療養病床で看護師5名を対象としたインタビュー逐語録である。逐語録について、質的帰納的に分析を行い、転入日の動きに関するリスクを把握し、事故を予防するための情報収集の方法を抽出し、整理した。 分析の結果、対象者が想定する事故は、点滴やカテーテル類の抜去と転倒であった。対象者が実施していた情報収集の方法は、【急性期病床の看護師から情報を得る】、【患者に触れて身体状態を感じ取る】、【患者の動きをよく見る】、【患者の動きを引き出す】であった。これらの行動に先立って、患者の身体拘束は解除していた。これらの行動は、〔患者の危険を予測するためにできるだけ情報を得たい〕、〔患者には動ける可能性があると考えて患者の動きの範囲を広く捉える〕、という看護師の態度に基づいていた。患者には動ける可能性があると考えて患者の動きの範囲を広く捉える態度で、患者の動きを引き出すのは、急性期治療後の患者の回復を促進する医療療養病床看護師の行動の特徴と考えられた。急性期治療後に転入した高齢患者の動きに関するリスクを把握する情報収集の方法は、患者の動きを抑える目的ではなく、最大限の機能発揮の可能性を把握し対処しようとするものである。これは、事故を起こさないことを第一義とするのではない、患者の生活を支える医療療養病床での事故予防のあり方を示すものであると考えられた。今後、このような情報を多職種と共有する方法を明示する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査研究の結果、研究対象とする事象が当初想定したより複雑で整理に時間を要し、1施設の調査の分析に留まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査結果をもとに、他施設での調査方法に関する示唆が得られたため、対象施設を拡大した調査を実施する。その結果をもとに、パイロット版モデルを作成し、妥当性と汎用性の確認を行うことが次の課題である。
|
Causes of Carryover |
計画申請時より分析が遅れ、結果の公表に伴う経費および第2段階の調査に関する経費が抑制された。研究成果の学術集会での公表の遅れについて、次年度に繰り越した。また、海外の先進的な施設への視察を計画していたが、実施できなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の調査の分析結果を踏まえた追加調査に使用する他、研究成果の公表のための経費として使用する。本年度実施できなかった先進的に取り組む施設への視察を計画し、そのための経費として使用する。
|
Research Products
(1 results)