2017 Fiscal Year Research-status Report
急性期治療後の高齢者が転入する後方支援施設での多職種情報共有包括ケアモデルの開発
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15K11760
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
丸山 優 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (30381429)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 継続療養 / 情報共有 / 高齢患者 / 療養病床 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、急性期治療後の高齢患者への転入時ケアの促進を目指した情報共有モデルの素案(仮モデル)を作成することを目的に2つの調査を実施した。 調査1では、高齢患者の移行時の情報共有の流れと課題を明らかにした。調査対象は医療療養病床の医師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師、言語聴覚士、介護福祉士、医療ソーシャルワーカー計13名で、急性期病床からの情報伝達および医療療養病床内での情報共有についてインタビュー調査を行った。その結果、急性期病院から伝達される情報の内容は治療経過、現在の身体状態、家族状況に関する情報であり、受領した情報について、それぞれの職種者が患者理解に向けた情報を吟味、精査し、他の職種者に報告や確認するという流れがあった。急性期病床との情報共有について、現状では不足する内容があっても転入後に自ら収集することで対応しており、情報不足が問題と認識されにくい状況があった。 調査2では、医療療養病床において、急性期病床から取得したい情報を明らかにした。調査対象は医療療養病床の看護師5名で、インタビュー調査を実施した。その結果、転入時に取得したい情報は、身体状態、急性期病床での生活状況、処置や対応の根拠と判断、対応の要領、家族の状況に分類された。その目的は、リスクマネジメントと医療療養病床での対応を判断するための根拠を得ることであった。高齢患者の医療療養病床への転入時には、病棟でのケアに直接関連する情報の提供が求められていた。転入当初のアクシデントを共有し、防止に向けた情報共有のあり方を検討すること、高齢患者への継続ケアを見据え、急性期病床での対応の根拠が明確に伝わることが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査から、モデルの作成に必要な要素が抽出され、次年度の調査に向けた準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査から、急性期治療後の高齢患者の転入時ケアの促進に向けた情報共有に関する課題は、急性期病床と受け入れ機関の間で伝達される情報の内容と時期の適切さに向けた認識の相違にあることが推測される。これらの最適化に向けて、現状の不適切な状況が認識できるようモデルを構築し、現実性を保証し、妥当性と汎用性を確認することが次年度の課題となる。次年度は、仮モデルについて、情報提供側である急性期病床と授受側である医療療養病床の両方を対象として、調査を実施し、施設間の移行時の情報共有について共通した認識がもてることを目指すモデルを完成させる。
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Causes of Carryover |
一昨年度の調査研究で、対象者選定が困難であったことと分析に想定よりも時間を要したことから、研究期間を延長し、研究方法を修正した。 本年度は、修正した研究計画に沿って順調に進行しており、次年度は検証に向けたデータ収集と成果報告に研究費を活用する。
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Research Products
(2 results)