2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症ステージアプローチに基づく看護実践モデルの構築
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15K11770
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高見 美保 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (50613204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中筋 美子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (10733454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症ステージアプローチ / 認知症の進行に対する捉え方 / 認知症の進行に際したケアの考え方 / 認知症当事者の心情 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者と家族および認知症の治療や看護を行う専門職に、認知症の進行に対する捉え方と治療やケアの考えに関する聞き取り調査を実施した。 1.実施機関:認知症の診療を担う医療機関(3施設)、認知症者の療養施設(2施設)ターミナル期を支援する施設(2施設);計7施設。2.研究協力者:認知症診療医6名、看護師12名、介護士8名および、認知症者とその家族23組(認知症軽度~重度まで含む、認知症者の平均年齢85.4歳、家族67.0歳)。 3.データ収集と分析:実施機関に勤務する看護師、介護士及び診療医と、その機関を利用(入所)する認知症者と家族に、以下の聞き取り調査を行った。診療医および看護師・介護士:「認知症者や家族への(診察)、関わりで注意していること」、「他の専門職との関わりで注意していること」、認知症者:「困っていること、助けて欲しいと思うこと」、「落ち着くと思えること」、家族:「介護上で、困っていること」、「知りたい知識・情報」、「ケア専門職への希望」。調査内容を言語データにし、内容分析を行った。 4.結果及び考察:看護師・介護士は認知症全ステージで「言葉や表現を引き出す」ことや「恐怖を与えない環境作り」を行い、進行例には「表情から思いをくみ取る」ことで、他の専門職に「生活が見える報告」をしていた。診療医は「患者が答えられるペースで問診する」ことで「家族の情報とエピソード記憶を照合」しつつ、進行例には「体調管理」に努めていた。しかし、認知症者は「問題は無い」と言う一方で「不安な自分」を感じ、進行すると「ゆっくりが一番」という心情変化があった。家族は「本人の納得が一番」としながらも「思い出が共有できないむなしさ」に揺れてることが分かった。次年度は、当事者の心情や関心の差異を踏まえ、認知症の進行ステージに応じた、安寧を得られるアプローチ方法を作成し、試行的に実践、評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は聞き取り調査を広範囲に行ったため、調査日程の調整に予想以上の時間を要し、研究結果の分析と認知症ステージアプローチの内容構築の方向性を整備するに留まった。 また、データ収集を進める上で調査員の人数に限界も生じたことも、研究の進捗がやや遅れている状況に影響していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進捗がやや遅れている点については、この研究内容に理解を持つ分担研究者を追加する予定である。また、ライフワークとして行っている認知症看護の事例検討会や研究会の機会を効率的に利用し、認知症ステージアプローチの実施プログラムの作成と運営を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、データ分析結果を踏まえ、認知症ステージアプローチの内容となる介入プログラムの作成と実施の開始を考えており、パンフレットや実施に伴う諸費用を計上していた。研究の進捗が次年度にずれ込んでいるため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、認知症ステージアプローチの内容となる介入プログラムを作成し、実施する予定であり、その際に用いる冊子の作成やワークショップ開催に伴う運営費を経費から支出する予定で計画している。
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Research Products
(2 results)