2016 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホームにおける職場環境評価尺度の開発と組織コミットメントとの関連
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15K11779
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
緒形 明美 名古屋大学, 経済学研究科, 招へい教員 (80740696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木曽 加奈子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (40465860)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 職場環境 / 職場定着 / 特別養護老人ホーム / 看護職 / 介護職 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、労働者として働く立場の側面から、人材定着に必要な施設運営や人材管理について、看護職員と介護職員の考えを明らかにし、職員に対する具体的サポートと職場環境の構成概念の検討・定義を質的に検討することを目的にフォーカス・グループ・インタビュー法を実施した。 期間は5月~6月で、対象施設は東海地方における100床以上の3施設を有意抽出した。対象者は、看護職員3名、介護職員3名の計18名である。対象の人選については施設管理責任者に依頼した。 分析は、質的帰納的方法によって行い、データのコード化と分類、カテゴリーの名称を設定した。分析の結果、カテゴリーは、5つ抽出された。 カテゴリー<ケアの質の向上を目指した取り組み>、<効果測定の公平さと心身ともに休める体制>は、職場を続けるために必要だと考える施設の物質的側面に関する内容で、23のサブカテゴリーで構成された。カテゴリー<職員に対する上司の関わり方>、<職員間の協働は>、職場を続けるために必要だと考える施設の人的側面についてであり、10のサブカテゴリーで構成された。 組織運営には、医療と介護の連携体制を整えるとともに、利用者に対するケアプランの充実などが考えられた。給与体制においては、業務内容を反映させた適切な人事考課による評価が、休息では、年次休暇の取得や残業申請などの制度を整えることが必要であると考えられた。人材管理では、直属の上司や施設長との人間関係のあり方、同僚や他職種間の良好な関係構築が考えられた。 以上の調査結果を元に職場環境評価尺度の妥当性のある項目案を検討するために看護・介護の研究者及び特養の職員の8名で構成されるデルファイ法によるディスカションを11月~12月に実施した。分析の結果、労働環境、人的サポートの二つのカテゴリーに整理され、それぞれ15項目及び14項目の計29項目の尺度項目案に収束した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査2及び調査3を実施することにより、特養における職場環境の構成概念の検討・定義を質的に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本格的開発に向け大サンプル調査を行い、信頼性・妥当性の検討を行うことにより尺度を確立させる。なお、デルファイ法にて意見収束したが、概念を表していると思われる質問項目を収束することが適切であったかを含め、既存の概念を再検討し、尺度開発のプロセスが妥当であるかどうか再検討する。尺度名については、人材定着、職場定着、職場環境評価などが考えられ、既存の理論も参考にし、本研究の概念の明確化について再確認することが必要である。これらの再検討期間を1ヶ月設け、予備調査期間を予定より1ヶ月遅らせる。 6月~9月を予定として予備調査を実施し、本調査項目を抽出する。対象施設は愛知県内の100床以上の特養15施設で有意抽出とする。対象者は特養の職員約90名(看護職3名、介護職3名)とする。 予備調査を元に本調査を実施し信頼性・妥当性の検証をする。対象施設は全国の100床以上の特養85施設を無作為抽出し、対象者は特養の職員約500名(看護職3名、介護職3名)とする。調査期間は10月~2018年4月を予定。調査方法は郵送法による無記名自記式質問紙法とする。分析は、記述統計、クロス集計、信頼性分析、因子分析、共分散構造分析を実施する。
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Causes of Carryover |
平成28年度から平成29年度への繰越金額は440,172円である。この理由の1点目には、本年度中に成果発表する予定となっていたものが遅れ、国内旅費の交通費、宿泊費を執行しなかったためである。2点目として、英語論文投稿する予定となっていたものが遅れ、そのために必要な英訳・校正の費用を執行しなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発表できなかった成果発表を29年度に発表する予定であり、平成28年度は、繰越分を国内旅費の交通費、宿泊費に20,000円あてる。また、29年度中に英語論文を執筆し、英語論文投稿による英訳および校正の費用に400,000円あてる。研究過程を再度見直し、既存の理論や方法論について書かれた図書の購入費に20,172円あてる。
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