2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11789
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水野 恵理子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40327979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 みすず 飯田女子短期大学, 看護学科, 教授 (00461872)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合失調症 / スティグマ / 地域力 / 精神看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、統合失調症患者と周囲の人々が捉える偏見・スティグマ、スティグマとソーシャル・キャピタルの関係、精神疾患をもつ人が社会で生きていくことを支えるための地域力の意味を明らかにし、地域精神看護の援助を見出すことである。 平成28年度は、山梨県及び長野県の精神科病院外来に通院中の統合失調症患者27名、精神医療福祉専門職34名、一般住民(子育て会・地域ボランティア・ダウン症の親の会)28名に対し、①Linkスティグマ尺度、②ソーシャル・キャピタルに関する質問紙、③精神疾患が影響した体験、精神疾患は一般にどう捉えられているか、精神疾患をもつ人が生きやすくなるために必要なこと等を問う面接ガイドを用いて個別面接を行った。 質的分析の結果、患者は、マスコミと精神障害者が関与した事件が人々に与える影響、健常者と精神障害者の間にある一線、自分に対する周りの見方の把握と偏見を持たれていることの自覚、他の障害との違い、現状維持を重要視する姿勢をもっていることがうかがえた。一般住民は、うつ病は回復するが統合失調症は回復しない、一度入院したら社会に戻れない、病気と性格の境界がわからない、腫物に触る感じで距離をとる、真に理解することはできない病気と考えていた。医療福祉専門職は、業務の一環とわりきった精神障害者観、精神疾患を理解することの限界、彼ら自身の倫理観と援助に関する疑問などを考える傾向にあった。統計的解析の結果では、患者・専門職・一般住民の3者間ではスティグマ得点に有意な差は認められなかった。今後、項目ごとの詳細な分析を行う。 平成29年度は、1.質的分析結果の一部、ダウン症の子どもをもつ母親が捉える精神障害について、18th International Mental Health Conference(2017年8月オーストラリア)での発表、2.フォーカス・グループ面接の実施、3.結果の学術誌への投稿、を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた、外来通院中の統合失調症患者、精神科医療福祉専門職、一般住民について、それぞれ27名、34名、28名の個別面接調査を行った。並行して、面接内容の分析を行っている。 ただ、医療福祉専門職の中で予定していた、保健師に対する面接ができていないため、新たな施設を開拓し、面接を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.個別面接の対象者の中で了解を得られた者について、フォーカス・グループ面接を行う、2.個別面接の質的分析の結果を学会発表する、3.質的・量的あわせて詳細な分析を進めていく、4.最終年度にあたるため、研究全体の概要と成果に関する報告書を作成する、以上の予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果をアメリカで開催される学会で発表する予定でいたが、日程調整が上手くいかず、シンガポールで開催された学会で発表した。また、現在分析に時間を要しており、計画していた国内学会での発表がまだできていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、いくつかの分析結果を国内・外国の学会で発表するとともに、和論文と英論文の学術誌への投稿を行い、その際の英文翻訳費・校正費、及び本研究の成果報告書の作成費に使用する予定である。
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