2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11790
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下里 誠二 信州大学, 医学部, 教授 (10467194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 理沙 信州大学, 医学部, 助教 (10612319) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 包括的暴力防止プログラム / 精神科看護 / 攻撃性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は包括的暴力防止プログラムの4日間研修中に質問紙を配布しアンケートに答えてもらった。結果9会場から283のアンケートが回収された。回答者は男性204名 女性 78名、平均年齢は36歳であった。経験年数は平均で10.02年であった。 暴力に介入する際の自信の程度は研修後29.61、研修前23.10で有意に自信が持てるようになっていた(t=17.767、p<.0001)。モラルに対する感度についてはLutzenの下位項目としての内的指向、道徳性の構築、慈善を示す、自主性の修正、葛藤の経験、医師への信頼について検討したところすべてにおいて研修後に感度が上がっていた(p<0.05)ものの因子分析では因子構造は確認できず明らかではなかった。 患者の攻撃に対しての怒り喚起については「言語的攻撃に対する怒り(t=-4.55、p<.0001)」、「身体的攻撃に対する怒り(t=-5.12、p<.0001)」で共に研修後に怒りが低くなった。アサーティブネスは伊藤の下位尺度「他者への尊重」と「合理的信念」について怒り喚起と相関を見た。結果合理的信念と言語的攻撃への怒りに正の相関が認められた(r=.208,p=0.001) 結果からCVPPPの研修により暴力に介入することに自信がつき、また患者の攻撃に対して怒りを覚える程度が少なくなることが明らかになった。またアサーティブネスのうち合理的信念は「自分のアドバイス通りにならないのが許せない」というような項目であることからこのような傾向のスタッフは患者の攻撃に対しても怒りが強いことが明らかとなった。倫理感性は上がる可能性はあったが測定具についての検討が必要と思われた。本研究からはCVPPPについての効果には患者からの怒りに対してスタッフ自身が怒りを覚えるということについての効果もあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の調査では当初の予定通りの規模での調査を行うことができた。自己効力感からは良好な結果が得られた。また次年度以降に行う予定だった怒りの喚起状況についても先行して調査出来たことは予定以上の成果と思われるが一方でモラル感受性については尺度としての選択に難しさがあったものと考えられる。また質問数が多めになってしまっている点で次年度以降はより簡便なものを利用することを検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は調査方法は同様であるが、質問項目を見直し、Buss-Perryの攻撃性質問紙、あるいは攻撃に対する態度(野田 寿恵,杉山 直也,松本 佳子 他,抑制手法への臨床姿勢質問票日本語版を用いた実態調査,精神医学,53(1),65-72,2011. )また倫理的側面は病棟風土(野田寿恵, 佐藤真希子,杉山直也,吉浜文洋,伊藤弘人,患者および看護師が評価する精神科病棟の風土―エッセン精神科病棟風土評価スキーマ日本語版(EssenCES-JPN)を用いた検討 ,精神医学,56(8),715-722,2014)等で評価することを検討する予定である。
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Research Products
(2 results)