2015 Fiscal Year Research-status Report
早期退院を目指した精神科急性期病棟へのリカバリーとパートナーシップモデルの適用
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15K11791
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 亜紀 岡山大学, 保健学研究科, 講師 (10413527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リカバリー / 看護実践 / 現任教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、精神科病棟の急性期医療において病棟看護師の考えや姿勢、態度を医学モデルからリカバリー志向に転換することと、入院中から患者家族を含めた医療者と看護対象本人とのパートナーシップ形成に取り組むことで、早期リカバリー支援による精神科病院からの早期退院の実現である。 平成27年度は、病棟看護師によるリカバリー支援を目的とした現任教育プログラムを検討した。精神の障害を持つ人のリカバリーでは、精神疾患の病理、精神症状による機能障害、機能障害に影響された日常生活の活動制限と社会への参加制約の側面すべてにおいて主観的な回復を重視している(Liberman)。主観的な回復への支援には、薬物治療だけでなく、看護対象の様々な能力とスキルの向上といった、社会参加を目的としたリハビリテーションの要素が不可欠である。このため、病棟看護師はリカバリーの概念を理解し、看護実践に適用することが求められる。検討の結果、看護師がリカバリー志向を高め支援するためには、精神の障害を持つ本人の社会生活スキルの獲得が可能なピアサポート活動へ参加し、看護師自身の精神疾患や精神疾患にり患した人へのスティグマを取り除くと同時に、ピアサポート活動を支援する知識と能力、経験の必要性が示唆された。また、病院での看護実践では、薬物療法のアドヒアランス向上、症状コントロールと生活上の様々なストレスへの対処技能獲得を目的とした認知行動療法(支持的精神療法、ソクラテス質問技法、動機づけ技法など)を取り入れる必要性が示唆された。 今後の展開として、27年度成果を用いて精神科病院の病棟看護師を対象としたリカバリー志向と支援のための研修を改良、構造化し、縦断的に実施と評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現任教育プログラムについての文献的考察、認知行動療法研修とピアサポート活動参加を介した資料収集および理論的検討に続き、リカバリーを理念とする包括型地域生活支援プログラムの臨床実践チームによるスーパーバイズを受け、客観的な妥当性検討も必要であったが未実施であり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開として、27年度の成果を、リカバリー支援の専門機関によりスーパーバイズを受け、精神科病院の病棟看護師を対象としたリカバリー志向と支援のための現任研修を改良、構造化し、縦断的に実施と評価を行う予定である。28年度はさらに、本研究に参加意思のある看護師を募集し、現任教育プログラムを開始する。
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Causes of Carryover |
リカバリーを理念とする包括型地域生活支援プログラムの臨床実践チームによるスーパーバイズを受け、客観的な妥当性検討が未実施であり、これにかかる調査費用として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リカバリーを理念とする包括型地域生活支援プログラムの臨床実践チームによるスーパーバイズを受け、客観的な妥当性検討を行うための調査費用として使用予定である。
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