2015 Fiscal Year Research-status Report
在宅看護における褥瘡重症度予測スコアの開発と遠隔褥瘡ケア支援システムの構築
Project/Area Number |
15K11813
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
池田 光徳 高知県立大学, 看護学部, 教授 (70212785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
小原 弘子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (20584337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 褥瘡 / 重症度スコア / 在宅看護 / 訪問看護 / 遠隔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中山間地域等での活用を想定した遠隔褥瘡ケア支援システムの構築を最終的な目的とする。このために、まず在宅療養患者に特化した褥瘡重症度予測スコアの開発を行う。次に、在宅看護に必要とされている遠隔褥瘡ケア支援システムのシステム要件を明らかにする。またこれらをもとに、訪問看護専門看護師、皮膚科専門医、WOCナース等を活用し、これらの専門職の在宅訪問が難しいことが想定される中山間地域において発生した褥創症例に対する遠隔褥瘡ケア支援システムを構築し、その有効性を検証することを目的とする。本年度は、褥瘡重症度予測スコア作成に必要な測定項目を選定し、その測定が実施可能かを検討した。また、それらの測定項目が中山間遠隔地から専門家のいる研究室に転送可能かどうかを実証した。さらに、次年度以降に解析対象となる中山間地域在宅看護ステーション利用者のなかに褥瘡患者がどの程度いるかについて、アンケート調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献検討によって、既存の褥瘡重症度予測スコアに含まれる測定項目の妥当性を検討し、新規測定項目(フィジカルアセスメントおよび生理機能検査)を洗い出した。その結果、ガラス板圧診法(持続する発赤か反応性充血か)、局所の圧力、軟部組織厚(皮膚厚、脂肪織厚および筋肉厚)、真皮水分量、皮膚弾力、経費水分喪失(TEWL)、コア温度-褥瘡部皮膚温較差(ΔT)、ヘモグロビン酸素飽和度(SaO2、SpO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、経皮酸素分圧(TcPO2)が指標候補であることが分かった。 本研究機関に既存の機器を使用したり、研究機関にないものは本研究費で購入して、パイロットスタディとしてこれらの各項目を健常人で測定した。その結果、動脈血酸素分圧(PaO2)は非侵襲的には測定できないこと、組織透光性を利用したデバイスであるパルスオキシメーターでは、体幹(肩や臀部)および坐骨結節部のヘモグロビン酸素飽和度(SaO2、SpO2)を測定できないことが分かった。 高知県内の中山間地域(遠隔地)から本研究機関へ各種データをオンタイムで転送することが可能であることは実証できた。 高知県内52箇所の訪問看護ステーションに利用者の褥瘡に関するアンケートを実施し、40ステーションから回答を得た。その結果、総利用者1,543人のうち48人(3.1%)に褥瘡があることが分かった。データの詳細については現在準備中の論文中で公表したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降はアンケートで得られた結果をもとに、いくつかの訪問看護ステーションに登録している利用者のうち褥瘡を有する患者に対して上記測定項目を測定する。褥瘡患者での褥瘡重症度と測定値との相関を見る(陽性コントロール群)。測定項目に係数を付けて在宅療養患者に特化した褥瘡重症度スコアを開発する。さらに、褥瘡のない利用者を継時的に一定期間観察・測定することで褥瘡発生群と褥瘡非発生群の間にいかなる違いがあるのか、褥瘡予測因子があるのか、あるとすればどの褥瘡予測因子がいかなる値をとったときに褥瘡発生の危険度が増すのか(褥瘡警報)を明らかにする。
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Causes of Carryover |
動脈血酸素分圧(PaO2)およびヘモグロビン酸素飽和度(SaO2、SpO2)が測定不可能であることが分かった。局所循環および局所栄養状態を把握する別のマーカーを測定できるデバイスを購入する必要があるためその購入費用の一部として次年度に繰り越した。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度より繰り越した318,554円を平成28年度予算に合算して近赤外線を利用して血流をみるベインビュアフレックス(1,200,000円程度)を購入する。
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Research Products
(6 results)