2017 Fiscal Year Research-status Report
地域母子保健における周産期うつ病の予防的介入に関する研究
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15K11832
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
玉木 敦子 神戸女子大学, 看護学部, 教授 (90271478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 利恵 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (00509127)
高橋 秋絵 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (50802435)
植田 奈津実 神戸女子大学, 看護学部, 助手 (90802463)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域母子保健 / 周産期うつ病 / 予防的介入 / 精神看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「周産期うつ病予防のための地域母子保健・精神看護連携モデル」の精錬 これまでに開発した「周産期うつ病予防のための地域母子保健・精神看護連携モデル」案について、28年度に実施した特定妊婦訪問支援モデル事業に従事する訪問指導員を対象とした面接調査結果等および関連文献の検討結果によって精錬した。 2.「周産期うつ病予防のための地域母子保健・精神看護連携モデル」に基づいた介入および調査の実施 某地区に妊娠届出書を提出した妊婦のうち、地区担当保健師によって特定妊婦と判断された者283名のうち261名を対象に開発したモデルに基づいた介入を妊娠期(原則6ヶ月以降)から実施した。介入実施者は前年度までに周産期メンタルヘルスに関する研修を受けた保健師および訪問指導員(助産師または保健師)6名であった。産後1ヶ月時点での産後うつ病スクリーニングにおいて区分点以下の者の割合は周辺の地区と比較し当該区の方が高かった。また産後4ヶ月時点でもわずかに割合が多かった。介入を受けていた者で、産後6ヶ月時点で何らかの心理社会的問題を持つと判断された者は205名中34名だったが、介入前よりも精神状態の悪化が認められる者はなく、また虐待が疑われる者もいなかった。 3.地域における妊婦への教育的支援の実施と評価 2.の介入および調査結果、また前年度までの調査結果を通して、介入モデルに訪問指導員による介入に加えて妊婦を対象とした教育的支援(マタニティスクール)を加えることにした。「マタニティスクール」は妊娠期からの母親の孤立予防および教育的支援を目的としており、必要に応じて対象者に紹介し、うつ病予防の効果をより高めようとするものである。マタニティスクール自体の効果も質問紙調査を通して評価する。調査結果の分析は30年度に行い、関連学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた介入モデルの精錬、および開発したモデルに基づいた介入を実施した。対照群に対する調査への協力を得ることに時間がかかっているため、現時点で介入群と対照群の比較は十分でない。ただし、これまでに某区において妊娠届出書を提出した1908名、および4ヶ月健康診査を受診した1211名の調査票の分析を行い、その結果から心理社会的ハイリスク妊婦の選定条件等を評価できている。また妊娠届出時、4ヶ月健康診査時に妊産婦を対象にうつ状態、自尊感情、孤独感、子どもへの愛着、訪問指導員による介入への満足度等を調査しており(分析対象556名)、その分析結果から介入効果を評価している。したがって「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.29年度に引き続き、モデルに基づいた介入および調査を行う。29年度から新たにモデルに加えた地域における妊婦への教育的支援(マタニティスクール)の実施も継続し、教育的支援単独での評価(質問紙調査による)も行う。 2.地域母子保健において妊産婦を支援する看護職が、精神看護を専門とする者から教育訓練、コンサルテーション、心理的援助を受ける効果や意味を明らかにすることを目的として面接調査を実施する。対象は開発したモデルに基づいて介入を実施した看護職(保健師、助産師)10名程度である。面接は介入実施後に半構成的面接によって行う。調査内容は精神看護師から教育訓練、コンサルテーション、心理的援助を受けた意味等とし、質的記述的に分析する。 3.29年度および30年度に得られた成果について関連学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
対照群に対する調査が十分に行えなかったため、次年度使用する研究費が生じた。今年度の使用計画の概要は次の通りである。 (1)29年度から引き続いて実施するモデルに基づいた介入・調査、および地域における妊婦への教育的支援の実施・調査の中で必要となる人件費(調査協力者への謝礼等)、物品費(消耗品等)等。(2)看護職を対象とした面接調査で必要となる人件費(調査協力者への謝礼等)、委託費(テープ起こし)等。(3)成果発表のための関連学会参加に伴う経費(交通費、ポスター印刷費)等。
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Research Products
(6 results)