2015 Fiscal Year Research-status Report
地域包括支援センターと関係機関の協働による在宅療養者の防災支援プログラムの開発
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15K11854
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
高橋 和子 宮城大学, 看護学部, 教授 (00315574)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災支援 / 在宅療養者 / 地域包括支援センター / プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者が先行研究で考案した在宅療養者の防災支援モデルを用い、地域包括支援センターと関係機関の協働により展開する防災支援プログラムを開発することを目的としている。 平成27年度は、文献検索や、自治体および関係団体の報告書等から、防災対策に関わる地域での取組みに関する実践事例の収集を行った。また、日常的に在宅療養者に関わっている専門職を対象に、防災に関わる活動での実践事例や課題の把握を行った。研究論文では、在宅療養者の防災支援に関わる地域包括支援センターの活動に関する報告は少なく、実施内容に関する実態調査がほとんどであった。自治体および関係団体の報告書においても、災害発生時対応についてまとめられたものはあるものの、防災対策での取り組みについては限られていた。実際に取り組んでいる自治体では、保健・医療・福祉の専門職と地域住民との協働による、地域づくりを視野に入れた取り組みの重要性が挙げられており、地域単位での取り組みの必要性が示唆された。専門職への実践事例や課題の把握では、実践事例として、災害対策における「優先度別利用者リストの作成」、「防災対策のニュースの発行」、「チェック表を用いた防災対策の確認」などが挙げられた。課題は、「防災対策の意識の希薄化」が挙げられ、東日本大震災発生後は、サービス担当者会議で関係者が集まり、利用者の災害対策の検討を行っていたが、現在は全く行われていないことや、以前、行っていた防災対策の対応をしばらく行っていないことなどが把握された。利用者・家族および専門職いずれにおいても、繰り返しの意識化と日常の活動に組み込んだ防災対策の必要性が指摘されていた。 現在、収集した内容を整理しており、分析結果をもとに、さらに今後の防災支援プログラムの組み立てに必要な情報把握を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、文献や報告書等による情報把握、および保健・医療・福祉関係の専門職を対象とした実践事例や課題の聞き取りを計画していた。文献検索においては、在宅療養者の防災支援に関わる文献・資料等の収集を行った。その中で、各地域における地域包括ケアシステム構築に向けた地域づくりの一環として、要援護者の防災対策を含めて取り組まれている例が確認された。今後は、地域包括ケアシステム構築での取り組み事例も参照しながら実践事例のある自治体や地域の把握を継続し、詳細の活動の関する情報把握を通して実施可能性の高い方法の検討につなげる。 また、実践事例の聞き取りについては、依頼していた専門職から活動の進捗状況等の事情により情報提供が得られなかったこと、その他の専門職においても、紹介できるほどの取り組みを行っていない等の理由から、情報提供の協力を得られたところが限られ、調整と情報収集に時間を要した。今後も継続して情報提供の候補者の把握を行いながら、並行して防災支援プログラムの考案を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献や報告書、保健・医療・福祉の専門職から把握した内容をもとに、「防災支援プログラム」の組み立てを行う。プルグラムの構成内容の骨子については、実践事例の情報把握で協力の得られた専門職や、「防災支援プログラム」の実施について内諾の得られている自治体の保健師等と検討する。これまで把握した情報、プログラムの試案作成までの検討プロセスはデータとして記録し、プログラムの評価として活用すると共に関連学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、研究打合せ用のノートパソコンの購入を計画していたが、聞き取り調査の実施時期が年度末近くとなったことから、機種等の更新時期を考慮し、平成28年度に購入することした。また、専門職への聞き取り調査等の旅費を計上していたが、情報提供者が少なかったことなどから、支出が計上額より低くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進捗状況に合わせて、ノートパソコンを購入すると共に、今後も、専門職からの情報把握は、継続して行うこととしており、次年度の国内旅費として使用する。
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