2016 Fiscal Year Research-status Report
地域包括支援センターと関係機関の協働による在宅療養者の防災支援プログラムの開発
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15K11854
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
高橋 和子 宮城大学, 看護学部, 教授 (00315574)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災支援 / 在宅療養者 / 地域包括支援センター / プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先行研究で考案した在宅療養者の防災支援モデルを用い、地域包括支援センターと関係機関の協働により展開する防災支援プログラムを開発することを目的としている。 平成28年度は、研究協力が得られている自治体の居宅介護支援事業所および居宅サービス事業所の専門職を対象に、各専門職の在宅療養者に対する防災意識の実態調査を行った。63箇所の事業所に調査協力を依頼し、19箇所から承諾を得た。管理者を通じて84部の質問紙を配布し、郵送法で回収した。67部(回答率・有効回答率79.8%)の返信があった。対象者の所属の事業所は、訪問介護事業所(28.4%)、訪問入浴介護事業所(26.9%)、居宅介護支援事業所(25.4%)の順で割合が高かった。 在宅療養者の防災対策について14項目で把握したところ、実施割合が低かったのは、「民生委員との日頃の関わりの確認」(26.9%)、「地域の支援体制の確認」(32.9%)、「災害の備えに関する助言・指導」(34.3%)等であった。防災支援での役割意識については、「関係機関との連携体制づくり」「利用者の安否確認」「利用者の安全確保」の割合が高く5~6割で、日頃の備えや支援者確保等に関する助言・指導等については、役割と認識している割合は1~2割程度であった。防災対策の実施や防災支援での役割認識に有意な関連が認められた項目は、「事業所の種別」、安全対策・安全管理に関する「研修会の参加の有無」、事業所内での「スタッフの防災教育の年間の実施回数」であった。 実態調査の結果から、在宅療養者の防災に関して、専門職が充分に関わっているとは言い難いこと、関わりに事業所の特徴があること、研修会・勉強会が防災支援の意識や実践対応を高めることが示唆された。今回の結果を踏まえて、プログラム内容の具体的な検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、実態調査を踏まえ、プログラムで展開する研修会の検討と研修会の実施を計画していた。昨年度から行っていた情報収集と自治体・地域包括支援センターとの調整に時間を要したこと、また、倫理審査の関係もあり、実態調査の時期が遅れたことから、研修会の実施時期を再検討する必要性が生じた。地域包括支援センターと研修会の内容を十分に検討すると共に、地域包括支援センターおよび参加協力を得る居宅介護支援事業所および居宅サービス事業所の関係者等が参加しやすい時期を考慮し、今後のスケジュールを再検討した。現在は、実態調査の結果を地域包括支援センターの関係者と確認し、実際に展開するプログラムの内容、協力を得る人材、実施場所等を検討している。平成29年度の中盤での実施に向けて準備をしているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
実態調査の結果について関連学会で発表すると共に、プログラムで展開する研修内容等を地域包括支援センターの関係職種と検討する。研修会は、自治体の防災対策の理解や、災害に対する平時からの地域住民との協力体制の強化に関わる内容とすることを想定しており、関係機関や自治体の担当部署からの情報を得て研修会の構成に活かす。また、学会等に参加し、地域協力体制の取り組みを行っている実践者や研究者、本研究の展開に関わるアクションリサーチおよび、プログラム評価研究に取り組んでいる研究者等との意見交換等を行い、得られた意見・情報により本プログラムを洗練する。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、プログラムで展開する研修会の打合せや研修会の実施を計画していた。進捗状況により、打合せの回数が予定より少なくなったこと、また、研修会を実施しなかったことにより、交通費および、デジタルカメラ等の購入費、データ入力等の謝金の支出がなく、計上額より低くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画の遅れから平成29年度に行うこととした、打合せおよび研修会、学会参加等に関わる支出にあてる。また、研修会の必要物品等、購入する。これまでの成果の公表として、平成29年度に日本災害看護学会、日本公衆衛生看護学会での発表を計画している。
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Research Products
(1 results)