2017 Fiscal Year Research-status Report
地域包括支援センターと関係機関の協働による在宅療養者の防災支援プログラムの開発
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15K11854
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
高橋 和子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (00315574)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災支援 / 在宅療養者 / 地域包括支援センター / プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先行研究で考案した在宅療養者の防災支援モデルに基づき、地域包括支援センターと関係機関の協働により展開する防災支援プログラムを開発することを目的としている。 平成29年度は、研究協力が得られているA市においてB地区を所轄するC地域包括支援センターと協働し、平成28年度調査結果等を踏まえて考案した防災支援プログラム(以下、プログラム)を実施した。B地区に所在する居宅介護支援事業所および居宅サービス事業所16事業所を対象事業所とし、プログラム実施前後の質問紙調査および、プログラム参加を依頼した。質問紙調査は、6事業所から協力が得られ、プログラムには9事業所が参加した。 プログラムは、連続する3ヶ月間で、毎月1回、計3回実施した。プログラムの構成は、平成28年度調査において、対象者が知識を得たいこと・知りたいこととして挙げられていた「災害時の自治体の体制」「地域の協力体制」「災害発生時の対応方法」に関する内容を含むものとした。1回目で「課題の発見」、2回目で「具体策の検討」、3回目で「課題解決のための計画立案」につなげる企画とした。このプロセスを通して、参加者が課題を意識し、課題解決のための動機づけを高めることを意図した。プログラムの評価は、実施前後の質問紙調査とともに、プログラム実施時の終了時アンケートおよび、プログラムでのグループワークを参加者の了承を得て録音し、参加者の気づき等を質的に分析した。実施前後の質問紙調査では、実施後の「利用者・家族の防災意識の啓発」に対する役割意識の割合が高く、有意差が認められた。各回の終了時アンケートにおいても、課題認識、今後の対応につながる自由記載が多く見られ、プログラムの参加が、居宅介護支援事業所や居宅サービス事業所の専門職の利用者・家族に対する防災支援の意識の変化に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度までのプログラムの実施準備における自治体・地域包括支援センターとの調整および調査時期の遅れにより、計画段階よりやや遅れて進行している。平成29年度も、プログラムを対象者が参加しやすい時期に設定したため、年度の後半での実施となったが、実施時期を考慮したことにより、対象地区の半数以上の事業所の参加が得られた。グループワークでは、前向きな意見や、地区で取り組める様々な具体案が述べられており、質的データとして分析を進めている。プログラム参加者およびプログラム運営を協働で取り組んでいる自治体および地域包括支援センター担当者からは、プログラムの周知・充実を図る必要性に関する意見が挙げられており、対象地区の拡大を検討している。量的・質的データを基に実施したプログラムの評価を引き続き行っていくと共に、より効果的なプログラムの展開および検証方法を再考する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の取り組み結果について関連学会で発表する。また、これまでの分析結果は、論文としてまとめ、投稿する準備をしている。平成29年度の取り組みに関しては、引き続き、学会等への参加により、地域をフィールドに地域協力体制の構築等に関わっている実践者や研究者、本研究の展開で取り入れているアクションリサーチやプログラム評価研究に精通している研究者等との意見交換等を行う。これらを通し、プログラムの効果的な展開方法の検討に活かすとともに、在宅療養者とその家族支援方法の具体化を図る。
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Causes of Carryover |
前年度からの計画の遅れに伴う残額分があったことから、平成29年度においても残額が生じたが、年度内の執行額に関しては、概ね、計画に追い付く形で順調に執行している。平成29年度のプログラム実施の時期が後半になり、学会発表や出張旅費および、謝金額が想定より抑えられた額となっている。平成30年度は、平成29年度未実施分も含めて順次、執行する計画をしている。
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Research Products
(2 results)