2015 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待予防を目的としたポピュレーションレベルの子育て支援プログラム
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15K11858
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (80191146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 則子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (30150171)
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70264827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 児童虐待予防 / 体罰 / 育児 / 乳幼児健診 / 質問紙調査 / 育児プログラム / ポピュレーションレベル |
Outline of Annual Research Achievements |
目的】地域の一般家庭における子育て支援プログラムの実施とその評価を目指し、平成27年度は体罰意識と育児の実態を明らかにすることを目的とした。 【対象】平成27年11月から6か月間にW 市在住の、3歳児健診の養育者1546名を対象に質問紙調査を行った。質問内容は、1983大阪A市、2003 年兵庫県H市で実施された質問紙に準拠し、育児についての気持ち等22項目、育児場面での日常行動、体罰の認識、使用および育児支援状況等28項目を調査した。子どもへの育児行為や体罰などの認識が、育児での気持ちや子どもの状況に影響するかどうかを検討した。 【結果】対象6か月のうち4か月間の773名を分析した(暫定結果)。母親の年齢中央値は35歳であった。育児場面で体罰の使用は43.7%で、大阪(198 3年)66.8%、兵庫(2003年)67.7%から減少した。育児で手伝ってくれる人の存在は、1983年62%、2003年88.5%、2015年96.6%と増加していた。今回の調査で、育児が大変と感じる養育者62.7%、育児で迷う60.7%であった。育児場面でイライラ感じる養育者は体罰の使用が58.1%であった。体罰の使用と有意に関係があった項目は、養育者のイライラ、不安、大変で感じるで、養育者の育児態度として禁止、干渉、他人との比較であった。母親が出産するまでの育児経験は、子どもを抱く・遊ぶことがなかった29.1%、食べさせる、おむつを替えた経験がない56.5%であった。 【結語】養育者は、子どもに接したり世話をした経験が少なく、関わり方が分からないため不安になりやすい。しつけに体罰を用いる傾向がある養育者は、イライラ、不安、迷いなど精神的に不安定で、養育態度はよその子と比較しがちで、禁止、干渉という養育態度がみられた。地域レベルでの子育てプログラムの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3歳健診の養育者に対する質問紙調査は、平成27年11月から平成28年4月の6か月で予定していた調査はすべて終了した。現在、6ヶ月間のうち4ヶ月間のデータまで解析が終了した。平成28年4月末の時点での報告は4ヶ月間における暫定結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度研究(その2)では、多くの養育者に提供できる前向き子育てプログラム(トリプルP)・セミナーの効果を評価することを目的とする。研究方法は、子どもの問題行動が出現する時期に焦点を当て、主として就学前の子どもの養育者を対象とし、W市の4地域で子育てセミナーを開催する。効果測定のため子育て状況をプログラム前後で比較する。質問内容は育児スタイル、育児での気持ち(不安、負担等)や子どもの状況(性別、兄弟、疾患の有無等)で、セミナー後にプログラムの満足度の測定等を行う。
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Causes of Carryover |
1.前向き子育てプログラム・セミナー養成講座が、参加できる期間に開催されず、当セミナーを実施するための研修者の派遣が行えなかった。 2.質問紙調査は予定の6ヶ月間は終了し、2ヶ月間のデータ入力作業中のため、入力・解析に係る賃金・謝金が使用できていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.前向き子育てプログラム・セミナーは平成28年5月10日に和歌山市で開催され、5名の研修者を養成する予定である。 2.質問紙調査のデータの入力、分析は平成28年6月に終了する予定である。
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Research Products
(4 results)