2016 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待予防を目的としたポピュレーションレベルの子育て支援プログラム
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15K11858
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (80191146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 則子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (30150171)
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (70264827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 児童虐待予防 / ポピュレーションレベル / 育児 / 体罰 / 育児プログラム / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、虐待ハイリスク家庭という特定した対象でなく、ポピュレーションレベルの地域家庭における子育て支援プログラムが、(1)体罰に対する意識変容をもたらすか、(2)具体的な子育てスキルの改善効果をもたらすか、の2点を明らかにすることである。 対象は子どもの問題行動が表在化する年齢の子どもに焦点を当て、A市で2歳から就学前の子どもを持つ養育者とした。提供した前向き子育てプログラム(トリプルPレベル2)は、1回90分のセミナーで①前向き子育ての力、②子どもの自信を高める、③頑張れる子どもに育てるの3つのテーマについて、子どもの発達・特性を学ぶものである。プログラム直前と3つのセミナーをすべて受けた後に調査票に回答するA群(n=57)と、プログラム直前とテーマ1のみを受けた後に調査票に回答するB群(n=57)の2群に分けて比較した。プログラム直前の調査票の内容は、子育てのタイプ(Parent Scale: 30項目)、養育者の心身状況 (DASS:42項目)で、プログラム直後は、PS、DASS、および満足度調査(CSQ:15項目)とした。統計的有意水準は5%未満とした。 結果は、PSの下位項目(手ぬるさ、過剰反応、多弁さ)において、A・B群ともに過剰反応、多弁さで有意な改善が認められた。DASSでは、2群ともに、統計的に有意差は認められなかったものの、うつ・不安・ストレスのすべての下位項目で直前と比べて数値の低下が認めれた。CSQでは、パートナーとの関係性以外の14項目で7点中5点以上を示した。 地域における就学前の子どもの養育者に対して、短時間セミナーにおいても子育てスタイルの改善効果が得られた。子どもに対する好ましい親の行動変容は、子どもへの体罰を含めた子ども虐待の予防につながると思われ、できるだけ多くの養育者に子育てプログラムを提供する機会を持つことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A市における就学前の子どもを持つ養育者に対して提供した育児プログラムは、養育者の育児態度の変容をもたらし、一定の心理教育的効果が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
セミナー開催は、就学前の子どもが保育園・幼稚園に通う午前中を計画し、1回100名程度を予定した。対象の子どものきょうだいに対する保育希望者が予想以上に多く、特に年少の子ども保育希望が多かったため、安全性を考慮し、1回30名程度と変更した。結果として4か所、約120名の人数となり、3テーマすべてを受けたもの、1テーマを受けたものの2群の評価となった。29年度は2テーマを受けたものの評価を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度予定に記載したように、年少の保育希望者が多く、子どもの安全性を考慮して、2つのテーマを受講したセミナーの開催が行えなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
同一ファシリテーター(講師)による2つのテーマでのセミナーを28年度2-3月から開始しており、29年度は同様のセミナーを2回計画している。本セミナーの開催で、会場費のほか、講師人件費・交通費、保育費、およびデータ入力に係る人件費に充てる予定である。また、本研究は、平成29年10月に開催される第15回ISPCANヨーロッパ地域会議において発表が決定し、成果発表の交通費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)