2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K11860
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
秦 さと子 (小野さと子) 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (10443897)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嚥下機能 / 舌骨上筋群 / 奥舌挙上 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度の成果に基づき舌骨上筋群の筋力に対する奥舌挙上運動の影響を検討することを目的に取り組んだ。【方法】対象は、嚥下機能障害について過去に診断を受けたことのない70歳以上の男女20名(運動実施群10名、運動未実施群10名)とした。奥舌挙上運動:舌骨の位置に軽く指を当て、「カッ、カッ」と発声しながら、「カッ」の発生時に舌骨が挙上することを確認するとともに、口腔内の奥舌が硬口蓋後方に接触することを確認する。3回目の「カッ」音時(発声はなし)に奥舌を硬口蓋後方に力一杯密着させたまま10秒間止める。この間、鼻から呼吸するように指示する。10秒間休憩をはさんで5回実施する。この一連の運動を奥舌挙上運動と名付けた。運動は1日2回(午前・午後に各1回)を月曜日から金曜日の連続5日間行い、2週間取り組んでもらった。嚥下時の筋活動量は表面筋電図を用いて測定した。運動実施期間前後に3mlの飲料水による嚥下時の舌骨上筋群の筋活動量を測定し、RMSと嚥下時間を用いて、運動実施前後の差を変化量として、運動実施群と運動未実施群で比較した。【結果】2群間のRMS変化量、嚥下時間の変化量について比較した結果、ともに運動群はコントロール群に比べて有意にRMSが増加した(p<.05)。【考察】運動期間前後で嚥下時の舌骨上筋群のRMSが増加したことは、舌骨上筋群の嚥下時に発揮される筋活動が強化したものと考える。そのため、喉頭挙上速度の上昇にもつながり嚥下時間の短縮に至ったと考えられる。喉頭挙上速度による嚥下時間の短縮は、食塊の進入のタイミングと嚥下反応のずれを改善し、誤嚥リスクの低減につながる。以上のことから、奥舌挙上運動は舌骨上筋群の嚥下時の筋活動を増強させることで嚥下機能低下予防につながる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嚥下機能低下予防のための運動方法の提案につなげる成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究成果が広く認知されるよう論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、掲載決定時にオープンアクセスで多くの人に閲覧してもらうため、11月に海外学術誌に投稿したところ年度内に査読の返事がもらえなかった。査読の結果を受け取り次第、論文掲載にむけて取り組む。
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