2015 Fiscal Year Research-status Report
中小規模事業場における実効的な参加型職場環境改善プログラムの開発と有効性評価
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15K11870
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
吉川 悦子 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (00435554)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 産業保健 / 中小規模事業場 / 参加型アプローチ / 職場環境改善 / 評価指標 / 介入プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中小規模事業場における安心・安全で健康的な労働生活を創出するための、産業安全保健の新潮流である参加型アプローチを用いた職場環境改善プログラムの有効性を検証するものである。特に、縦断的介入研究を行うことで、人的・物的資源に制約のある中小規模事業場の特徴に合わせたプログラム開発の視点および労働災害・職業病リスク低減のためのプログラム運用指標について明らかにする。そのため、1)中小規模事業場で働く労働者の安全・健康支援のための参加型アプローチの共通原則と効果的な手法、その評価指標の探索的検討、2)参加型職場環境改善プログラムの開発と介入、有効性検討、3)参加型職場環境改善の取り組みを支援するファシリテーターの要件に関する研究を実施する。 平成27年度は、参加型アプローチの共通原則と効果的な手法、その評価指標の探索的検討を実施した。また、中小規模事業場に応用可能な良好実践事例、効果的な手法について事例を収集し、その共通基本原則、体系的な評価指標を整理し、構造化した。 中小規模事業場は、雇用主の創造的な経営方針のもとに、家族的なつながりの中で従業員個々人が個性や特性を生かしながら働きやすい職場環境づくりを目指しており、中小規模事業場の利点を生かした介入プログラムや使いやすいツールが求められていることが明らかとなった。効果的な参加型アプローチの共通原則として、①良い事例から始める、②グループワークを活用する、③段階的に進める、④成果を交流する、⑤改善を容易化する一連のアクションツールを使う、⑥ファシリテータを育成する、が整理された。改善ステップとして、①多領域良好実践の見える化、②良い点・改善点の小集団討議、③職場内改善プランの合意形成の3点つが有用であることが確認できた。これらの研究知見で明らかとなった要素を反映した介入プログラムを次年度以降は展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定されていた介入プログラムの開発と評価指標の検討については、おおむね順調に進展している。次年度は介入プログラムの実施が予定されているが、介入候補となる事業場の最終確定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、複数の中小規模事業場でパイロットスタディを実施する。プログラムについては1年目の知見に基づき、参加型職場環境改善の共通原則を盛り込んだ内容としており、すでにツールを含め準備が完了している。あらかじめ設定された評価指標は介入の前後で測定をし、プログラムの有効性を評価する。プログラム・評価指標の検討はステークホルダー会議を開催し、実施する。ステークホルダー会議は、前年度に引き続き、ファシリテーター経験者数名とパイロットスタディ参加企業の関係者、また、必要に応じてプログラム評価を専門とする研究者に参加を要請する。平成28年度は、パイロットスタディの前後にステークホルダー会議を開催するため、複数回設定する予定である。ただし、中小規模事業場での介入研究(パイロットスタディ)については、経済の動向(景気)に左右される可能性があるため、場合によっては介入研究の実施が平成29年度にずれ込むことも想定をしておく。
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Research Products
(5 results)