2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of the business market in Health Promotion--A comparative study of the US and Japan
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15K11894
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
石井 敦子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (30405427)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 健康行動 / 市場環境整備 / 健康政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究の最終年度として、これまでの研究成果を踏まえ、米国でのHealthy People 2010における健康サービス情報の整備によるサービス選択の仕組み構築プロセスとコミュニティ形成について明らかにするために実地調査を行った。 調査は米国カリフォルニア州サンフランシスコで市民の健康行動やそれを支える市場活動の実態を把握した。また、市民の健康意識や食文化についてインタビュー調査を行うとともに、食を通じて健康なコミュニティづくりを実践している地元の食材店の取り組みについて調査した。これらの実地調査から、単に市民のニーズに合わせたサービスの提供ではなく、提供者側が自ら健康で持続可能な食の提供を追求しようとする強い信念や価値観を持つことで、それが市場に反映され、商品として市場で取引される仕組みの重要性が明らかになった。そのようなソーシャル・アントレプレナーやソーシャル・エンタープライズの存在が健康に価値あるものの生産と消費の市場メカニズムを形成し、その視点は、市民の健康行動や食文化に影響するだけでなく、食に関するビジネスを通じた雇用創出につながり、地域の経済や社会福祉の安定にもかかわっていると考える。これらのことから、市場活動を健康政策の推進の大きな柱に据えることでダイナミックに社会的課題にアプローチできることが示唆された。 市場の持つ機能が健康政策の推進力となる役割を果たすことが期待されるにも関わらず、これまでの健康づくりの枠組みの中にはこのような市場の持つ機能を活用し、健康行動を支える基盤を強化するという視点が不足している。市場経済に立脚した米国の実地調査により、継続した需要を創出するビジネスモデルの構築や産業政策との連携を含めた市場アクセスの整備など幅広い社会整備について検討することができた。
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