2016 Fiscal Year Research-status Report
Pathway 解析による微重力環境下筋萎縮メカニズムの解明と原因療法の開発
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15K11917
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文規 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定助教 (10588263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬原 淳子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (60209038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / ゼブラフィッシュ / 微重力環境 / 筋萎縮 / トランスクリプトーム解析 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの「宇宙滞在/運動抑制/加齢による変動遺伝子群の比較」により、宇宙滞在がゼブラフィッシュの骨格筋に及ぼす影響はこれまで宇宙滞在による筋萎縮として報告されている廃用性筋萎縮とは異なる部分があることを示す結果が得られた。これらの結果は宇宙滞在がゼブラフィッシュの骨格筋に及ぼす影響は微重力環境のみに依存的ではないことを示唆していると考え、新たに宇宙線の影響を模擬したゼブラフィッシュへの低線量放射線(γ線、0.3mGy/day)の長期照射実験を実施した。宇宙滞在と同様のスケジュールで筋組織をサンプリングしNGSによるトランスクリプトーム解析を実施した。その結果、宇宙滞在と運動抑制では明らかに異なる変動を示していた遺伝子群において低線量放射線の長期照射においては宇宙滞在と同様の変動が認められるものがあることが確認された。 また、「宇宙滞在ゼブラフィッシュの筋組織トランスクリプトーム/Pathway解析から新たに原因療法の候補遺伝子として同定された遺伝子の機能解析」としてゲノム編集技術を用いた新規候補因子のノックイン(蛍光タンパク質)ゼブラフィッシュの作製を実施した。しかし標的遺伝子のノックインを得ることができなかったためノックアウトと過剰発現トランスジェニックゼブラフィッシュ作製に計画を変更した。その結果、標的とする遺伝子のノックアウトゼブラフィッシュと過剰発現トランスジェニックゼブラフィッシュを作製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期的な実験となる低線量放射線の長期照射実験によるトランスクリプトーム解析を実施することができた。ゲノム編集技術を用いた新規候補因子のノックイン(蛍光タンパク質)ゼブラフィッシュの作製に関してはノックインを作製することはできなかったが、ノックアウトと過剰発現トランスジェニックゼブラフィッシュを作製することにより対応した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したノックアウトゼブラフィッシュ、過剰発現トランスジェニックゼブラフィッシュを用いて筋萎縮への影響(トランスクリプトーム解析を含む)を調べる。筋萎縮誘導の方法は運動抑制による廃用性筋萎縮だけではなく、低線量放射線照射も実施したいと考えている。このことにより対象とする遺伝子の筋萎縮への関与を明らかにする。 また、今後の予定として2回目のゼブラフィッシュ宇宙実験を予定している。この実験は軌道上ISSにおいて人工重力装置(1G)を用いたもので、重力以外の条件(宇宙線等)を全て同じにすることにより厳密に重力の影響を調べる計画である。
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Research Products
(8 results)