2017 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞分化への重力影響の解明を目指したマイクロ型擬似無重力発生システムの開発
Project/Area Number |
15K11918
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
亜力坤 亜夏爾 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 基礎科学特別研究員 (30735064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 圭祐 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60359114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 安定回転 / 微小孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世界初の、地上における手のひらサイズのデバイスで、単一細胞(受精卵)レベルでのマイクロ擬似無重力発生装置を開発し、哺乳類の細胞分化への重力の影響を検証することです。これまでの研究において、既存の回転システム用いて直径100μmから1mmまでの様々な動物の受精卵の回転を実現しましたが、生体試料の回転の安定性と再現性が不安定で、回転軸のずれが生じています。特に、回転している最中に受精卵及び初期胚の形態的な変化を高精度に観測することは困難でした。本年度はこれを課題に、既存の回転システムに用いられた100μm直径の穴をより小さい穴で代替し、極めて安定した回転を実現することをシミュレーションで推測し検証を行いました。結果として、100μm直径の穴を40μm直径の穴で代替するする場合、従来の回転システムの回転軸ずれ範囲を数マイクロメートルまで縮小することが可能だとわかり、試作と実験での検証を行いました。実験結果として、マウスの受精卵の回転が実現でき、回転軸のずれは予測通り数マイクロ程度におさめることができました。さらに、実験の難度はより高いと思われる直径100μm、表面極めて滑らかのマイクロ粒子を用いた実験を行い、受精卵と同様に極めて安定回転していることが実証されました。上記により、既存システムの改良として、100μm実験対象に対する安定性、再現性の高いシステムの構築に成功しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
回転している最中に受精卵及び初期胚の形態的な変化を高精度に観測することを実現するために、既存システムの改良を行い、回転の安定性、再現性を大幅に上げるため、多くの時間を要した。当初予定していた微小重力による受精卵及び初期胚の形態変化の観察は実現できませんでした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題:改良したシステムでマウスの受精卵を対象とした回転および評価試験を実施する 1.本研究の手法は微小回転を利用した独創的な擬似無重力システムであるため、従来の実験方法や手順は通用しない部分がある。微小重力を発生させるために、特殊な実験器具、培養条件、及び受精卵条件などが必要となるが、本研究ではこの段階での実施目的を、受精卵および初期胚の発生への重力の影響調査に絞る。複数の受精卵を数日間にわたって回転実験を行う。 2.本システムにおける哺乳類の受精卵の発生過程をモニタリングする方法を確立する。 3.さらに、噴水流速によって旋回流回転速度が成業されるため、μG-1Gまで様々な重力環境の創生は可能であるため、多様な条件で の卵細胞の発生への影響を調べる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた本デバイスでの受精卵発生に関する研究が大幅に遅れています。原因はより安定した回転を実現し、形態変化の高精度観察を実現するための既存システムの改良に時間を要した。また、受精卵は高速流体からの刺激に弱く、データ分析に必要の量の発生に関するデータが取りきれてない状態になっています。分析に十分なデータの量を回収できる様に研究期間の延長を希望します。 今後の使用計画:1.デバイス作製用消耗品(田中研究室)、受精卵の採取、培養に使用する薬品。2.実験の実施を手伝うアルバイトの費用。3.論文投稿の掲載料。4.国際学会MICROTAS2018に参加する費用
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Research Products
(3 results)