2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K11939
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
山崎 泰央 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (10387293)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 創業支援 / 創業者 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
〈沿岸部創業者の調査〉 引き続き、沿岸部の創業者に対して、創業の時期、動機、雇用の見込みなど外形的な側面とネットワークについて調査した。調査を進める過程で、初期のネットワークが創業の動機付けやその後の成長に影響することもあるが、むしろ創業者自身が目的を持ってネットワークを形成し、活用することの方が重要性が見て取れた。加えて、2014年以降に石巻市創業支援補助金を受けた事業者6社に対して、創業後の事業展開やビジネスモデルについて調査をおこなった。また、震災後に創業した者が地域の創業者を育てるといった、生態系も現れつつある。それらのケースでは専門技術と経験を活かしながら、後続の創業者を支援している。今後は創業者のエコシステムとして調査を進めたい。 〈創業支援政策について〉 2012年復興支援型地域社会雇用創造事業、2013年宮城県震災復興起業支援業務、2010年石巻市創業支援事業といった一連の創業施策について、これまで一貫して委託機関となっている石巻復興支援ネットワークの支援業務の運営等について調査をした。その結果、これまで公的な支援を受託してきたにもかかわらず、創業支援に関する専門的人材育成ができていないという問題点があった。これは組織の設立の意図と違う事業を行っていることに由来する。また、登米市の創業支援施策「登米市ふるさとベンチャー創業支援対策事業」について調査をし、石巻市の創業支援事業と比較調査をおこなった。両者の大きな違いは対象事業に対する考え方と審査姿勢の違いが見られた。両市とも地域資源の活用を条件としているが、登米市は条件を満たす事業に絞り込みをしていたが、石巻市は復興支援としての意味合いが強く、実際は業種や規模を問わず幅広い事業を対象にしていた。そのため、石巻市の創業資金の門戸は比較的広いが、事業継続性に問題のある事業者が助成対象となってしまうケースが見受けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度から石巻復興支援ネットワークの協力を受けて同団体の支援先の調査をしていたが、諸般の事情で調査協力が十分に得られなくなった。したがって、外形的な側面の調査を追加で再度実施する必要が出てきた。 また、経営学部のカリキュラム改変及び、新カリキュラムの学習プランの作成といった業務のほとんどを担当していたため、学務の量が極端に増加しエフォートを下げざるを得ない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている研究を促進するため、下記のような方向で研究を推進していく。 (1)他地域における創業支援策の比較について、原発事故の影響で産業復興がようやく始まった福島沿岸部について、研究分担者を追加して調査研究を行う。 (2)創業者の外形的調査について、聞き取りからWebアンケート調査に切り替えて、2012年復興支援型地域社会雇用創造事業、2013年宮城県震災復興起業支援業務での沿岸部創業者に拡大して行う。 (3)従来の創業者単体の創業時のネットワーク調査に加え、石巻で生じている創業者が創業者を育てるといったネットワークについて調査研究を深め、エコシステムとしての創業支援の方向性を考える。
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Causes of Carryover |
経営学部のカリキュラム改変及び、新カリキュラムの学習プランの作成業務を全て担当していたため、学務の量が極端に増加しエフォートを下げざるを得ない状況となっていた。したがって予定をしていた研究活動ができず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者を追加して原発事故の影響で産業復興が始まった福島沿岸部について研究を行う。また、計画的に研究を進めることによって、研究費の使用を着実におこなう。
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