2016 Fiscal Year Research-status Report
震災復興に関する人文学・社会科学・工学領域を融合した日本とトルコの比較分析
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15K11942
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
吉川 耕司 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (80220599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角本 繁 東京工業大学, 工学院, 研究員 (90425497)
江川 ひかり 明治大学, 文学部, 専任教授 (70319490)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 震災復興 / 地域防災計画・政策 / トルコ / 国際比較分析 / 時空間GIS / 領域横断的研究 / 歴史・文化と防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、年度末のマイルストーンとして「政策・歴史に関する情報を得、記述的解説リストを作り上げること」と設定し、①政策・統計・公文書などの情報収集、②現地調査、③歴史・文化の影響分析と「記述的解説リスト」の作成、の3ステップを設定した。 まず、「政策・統計・公文書などの情報収集」に関しては、後述するように現地調査の回数を減らさざるを得ない中で、トルコ人研究協力者に収集作業を一部委託し、電子媒体により情報の送付を受けることで、分析用の資料をかなりの部分収集することができた。具体的には、トルコの震災復興の政策に関わる公式資料・統計資料、ドゥズジェ市の復興に関わる統計資料等を入手することができた。 次に「現地調査」については、国情が不安定な状況から、吉川が1回、角本が2回、江川が1回、さらには連携研究者の梶谷が1回訪れるにとどまり、研究内容から想定していた複数回の渡航がままならず、詳細な分析を行うための情報入手は完了できない状況であった。つまり、市成立の歴史の解明を行うための19世紀の「収入台帳」は閲覧しか許されず、民間伝承の採取もヒアリングによるしかない中で、これらの情報が入手できていない。 ただし、収集できた情報に関しては、一部データ入力を外部委託し、その成果物をもとに「歴史・文化の影響分析」を一定程度行うことができ、トルコにおいて文化・歴史的経緯がどのように行動や政策に影響を与えているかについて、その一端を明らかにすることができている。ただし、トルコの復興政策形成と住民意識形成のメカニズムに関する「記述的解説リスト」の作成までには至らなかったのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国情が不安定な状況から、当初予定していた回数の渡航を行うことができず、現地でしか収集できない詳細な情報の入手ができなかった。上述のように得られた政策・統計情報については分析を進めることができたが、現地でしか閲覧できない公文書、および、ヒアリング調査で得るべき情報をもとにした分析が進んでいないのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため、鋭意挽回を図っていきたいと考えている。直接経費のうち、旅費の配分を予定より増やし、他の費目については既存資源の有効活用に務めることで、現地調査の延べ日数を増やすことで、遅れを取り戻すことは可能であると考えている。 こうして次年度末には、日本とトルコの比較分析のアウトプットとしての「対比一覧表」の作成を完遂するとともに、提言書の作成を行い、得られた成果を広く世に公開できる形でとりまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
トルコ国の政情不安により、渡航回数を減らすかまたは渡航期間を短縮した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に当初予定よりも、渡航回数の増加、または渡航期間の延長を行うことで、現地での情報収集の遅れを取り戻す予定である。
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Research Products
(2 results)