2016 Fiscal Year Research-status Report
コミュニティのあり方から考える農村再構築に向けた枠組み策定-飯舘村を事例として-
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15K11958
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
齋藤 朱未 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (20712318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 俊宏 明治大学, 農学部, 准教授 (10276165)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニティ / 帰村 / 飯舘村 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である平成28年度は,飯舘村においても大きな節目を迎える準備段階に入り,特にコミュニティや帰村意向といったことについて調査することが難しい時期であった。 平成29年3月をもって飯舘村は帰還困難区域である長泥地区以外の避難指示解除が発表された。これにより,村民は飯舘村への帰村を本格的に検討し,それぞれの道に向けた準備を行うことになった。本年度は30~40歳代の子世代に対し,帰村意向を把握する時期であったが避難指示解除の動きのなかで村民の意志,心情を考えると調査時期をずらすべきであると判断し,帰村の有無を明確に決定し,実際の村民の動きが明白になる次年度に実施することとした。そのため,本年度は農村再構築に向けた枠組み策定に向けて,平成27年度調査時点で帰村有無や自身の今後の方向性を明確にしていた村民に対して,現在の帰村に向けた準備状況,避難指示解除による生活の変化や帰村に対する思いを調査することとした。 調査は帰村に向けて準備を開始している村民のなかから2行政区4名に対し複数回実施し,避難指示解除後の飯舘村における営農・生活の予定とそれに向けた現在の準備状況,営農再開を行っている避難先の農地や避難先住民との関わりについて聞き取り調査を行った。 また,仮設住宅において入居村民の移動状況や帰村意向についても聞き取り調査を行った。仮設住宅の入居村民は徐々に減少傾向にあり空き家が見られるようになっている。しかし,その一方で避難指示解除となっても飯舘村の家が再建できていないなどの関係ですぐに退去できないため居住期間の延長を求めるなど,独自の問題が発生していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における平成28年度の進捗状況は遅れ気味である。その理由としては報告でも述べた通り,避難指示解除にともないコミュニティや帰村意向といった本研究の内容は村民にとって繊細な部分をうかがうことになる。そのため,調査対象となる村民の選定,心情を優先することが必要と考え,調査時期を後ろ倒しにしたためである。 以上のことから,進捗状況としては「やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針としては,30歳代~40歳代を中心とした子世代に対し,現在のコミュニティの現状とこれからの飯舘村における私有資源・地域資源について,その管理意向や将来的な村との関わり方について調査を進める方針である。そのため,早急に対象者の選定と協力のお願いを行い,調査の実施へ取り組みたい。しかし,現状では調査対象者の確保が困難な状況が継続される可能性もあることから,対象年代に関する事前調査を新聞等の雑誌記事,SNSの活用等により行ない,調査対象者を20歳代~50歳代と拡大することで調査対象者の選定を行なう方針である。
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Causes of Carryover |
研究2年目に実施予定であった研究内容を変更し,調査時期を遅らせたため本年度に使用予定であった予算が繰越されているため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,平成29年度請求額とあわせ,現地への交通費と人件費に使用する予定である。また,最終年度であるため,研究成果の報告を行う際の印刷費等へも使用予定である。
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