2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Cross-National Causal Analysis of the Relationship between Constitutional Rigidity and Constitutional Amendment
Project/Area Number |
15K11976
|
Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
北村 貴 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (90609108)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 憲法改正 / 憲法政策 / 憲法制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
憲法改正回数に対して憲法硬性度の高低が影響を与えるか否かを検証した。具体的には、独立変数を憲法硬性度、従属変数を憲法改正回数と設定した場合に負の因果効果が認められるかどうかという点について、因果推論の枠組みを用いて実証的に分析した。 分析の結果、「憲法硬性度か高ければ憲法改正回数が少なくなる」という因果関係の存在は確認された。第一に、憲法硬性度の高さと憲法改正回数との共変関係の有無を確認するために、相関分析を実施した。その結果、両者の間に存在する負の共変関係を確認できた。第二に、憲法硬性度が憲法改正回数に対して時間的に先行することを理論的に示した。同時に、逆の因果関係があり得ないことも理論的に示した。第三に、他の変数を統制した場合においても憲法硬性度の高さが憲法改正回数に対して負の効果を及ぼすかを確認するために、重回帰分析を実施した。その結果、他の変数を統制した場合にも統計的に有意な負の効果を確認できた。以上の三つの分析結果より、独立変数を憲法硬性度の高さ、従属変数を憲法改正改数と設定した場合、両者は因果推論の3要件を満たしている。したがって、憲法改正回数に対して憲法硬性度の高低が影響を与えていると判断できる。なお、本論文の重回帰モデルで確認できた因果効果は線形効果に限定され、非線形効果は確認できない。 分析結果からは、硬性憲法という憲法制度が憲法改正という憲法政策に対して、ある程度の抑止効果を発揮していることを読み取れる。憲法改正そのものは肯定しつつも、安易な憲法改正を防止し、憲法の安定性に資することが硬性憲法の制度趣旨である。その意味で、本論文の分析結果は、先進諸国においてはその趣旨が実現されていることを示している。ただし、分析により導出した偏回帰係数のパラメータ推定値から読み取れる抑止効果の程度は、絶対的にも相対的にも決して強くはない。
|