2016 Fiscal Year Research-status Report
公共政策におけるマルチセクター・パートナーシップと制度的企業家
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15K11978
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 昌峰 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (00585804)
山田 雄久 近畿大学, 経営学部, 教授 (10243148)
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
後 房雄 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20151855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチセクター・パートナーシップ / 制度的企業家 / 官民協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
行政とNPOとのセクターをまたがった協働の事例として、京都市市民活動センターや仙台市市民活動センターの設置をめぐるプロセスを詳細に調査し、分析した。また、地域の伝統的産業における分業体制や、行政、協同組合など多様なアクターが参加した事例として、佐賀県の有田町における陶磁器産業とそこでの複数の組合の統合をめぐる事例を詳細に調査し、分析した。 それぞれのケースの具体的な調査は、関係者へのインタビューと関係資料の収集を主とした。これらの調査結果および分析と考察は、内外の学会および論文の形で公表した。また、現地調査での関係者へのインタビューは、多くのものを反訳し、テキストデータとして蓄積することができた。 調査は特定の理論にできるだけ依拠しないように注意しながら進めた。経営学や行政学では、対象となる組織の側に視点を置き、その立場から現象を観察し、ものごとの流れを解釈する傾向があった。しかし、現実の政策策定は、舞台となる現象や政策や設備などが同じであっても、それぞれ異なった立場から、異なった解釈、利害調整を行いながら進む。このような状態をいかに記述するかが本研究の課題である。 これらのケースの記述やそれにもとづく研究成果は、国内および国内の学会で口頭報告し、また論文として発表することができた。ただし、まだできるだけ事実関係を正確に調べ、それを記述することを目指した段階であり、残された期間でその理論的解釈やモデル化を進めねばならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の事例についての調査は進み、その分析結果の公表まで達成できた。一方で、イギリスの事例についての調査が、勤務先の業務の都合と対象とするイギリスの政権交代などの状況変化によって、計画していた2017年3月の現地調査を見送らざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
すでのアメリカのアトランタでのAcademy of Management の2017年度大会での報告が決まり、国内ケースの分析はさらに進むことが期待できる。 イギリスの事例の調査については、イギリスの政権交代、EU離脱などの状況によって調査対象とする地域での公共政策や官民協働の状況が不安定であるため、進行中の状況を調査するのではなく、過去の状況を分析対象とするという方法を、代替的方法として用意する。すでにこれまでの調査と収集した文書がかなり蓄積されているので、一定の成果は期待できる。
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Causes of Carryover |
イギリスの事例についての調査が、勤務先の業務の都合と対象とするイギリスの政権交代などの状況変化によって、計画していた2017年3月の現地調査を見送らざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イギリス調査の実施を前提としながらも、調査対象としていた地域での官民協働の事業の実施が停止していた場合などは、これまでの事業の実態を分析するという計画に変更する。この計画に変更した場合には、これまでの調査で蓄積したインタビュー音声記録の反訳、翻訳などに費用を充てることにする。
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