2015 Fiscal Year Research-status Report
地域文化に根ざすNPO”ホームホスピス”の公共性と持続可能性
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15K11980
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
竹熊 千晶 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (20312168)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホームホスピス / 地域ケアシステム / NPO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2025年問題を抱えた高齢多死社会の日本のなかで、全国に広がりつつありNPO”ホームホスピス”が持続可能なケア・システムとなりえるのかを検証することである。ホームホスピスは、「要介護者にとって本当の自宅ではないけれど、最期の時まで本当の自宅のような安心できる居場所」として定義されているが、このホームホスピスの活動をケアの評価、「住まい」としての〈being〉と〈doing〉、医療・保険制度の経済的側面からの費用対効果から、地域社会の中での公共性と持続可能性を検証することが目的である。平成27年度に行ったことは主に次の2点である。 ①ホームホスピスで行われるケア実践の評価;ホームホスピスで行われているケアがどういうものであるのか、ホームホスピス推進委員会のメンバーとなっている設立して5年以上経過している5ヶ所のホームホスピスの代表と会議を重ね、基準作りを行ない、その基準をもとに1ヶ所のホームホスピスにおいてケア内容のレビューを行った。基準作りそのものが、ホームホスピスの活動理念の具体的方法である。この基準にそって、それぞれの入居者へのケア内容とその変化、家族の変化などを分析している所である。 ②「住まい」の機能評価;熊本にあるホームホスピス2軒の屋内・屋外に温度計、湿度計を設置しケア環境の計測を行った。建築物の環境評価の専門家に助言をもらいながら、継続的に観測した。しかしながら、台風の影響、熊本地震の影響により、計測器の安定性が得られておらず、結果はまだである。「住まい」をどのように評価していくかも含めて今後の検討課題である。 また、熊本地震によりNPOであるホームホスピスと「地域」との関わりが見えてきた。このことについても、記録し分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はアクション・リサーチである。ホームホスピスとしての活動実践は継続して行っているため、その点については順調に進展している。推進委員会のメンバーによる基準作りも行った。「住まい」についても、他専門職からの助言を得て計測中である。しかし、熊本地震による測定器の破損がみられる。計測器の信頼性と安定性の部分において、まだデータが出ていないのでなんともいえない状況である。また、「地域」との関わりについても、データが得られている部分をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
「住まい」の評価についての計測器について破損状況を確認するとともに、これまでの計測データの分析を行う。計測データが残っていない場合も考えられるため、その場合、再度測定しなおす。「ケアの評価」については、5ヶ所のホームホスピスのレビューを分析していく。熊本のホームホスピスのケア内容についても、データをまとめる。さらに今回の熊本地震により、地域住民の支援、全国からの人的、物的、金銭的支援など、「地域との関わり」とホームホスピスが地域に果たす役割等も見えてきた。今回の関わりの状況について記述し、分析していく。
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