2015 Fiscal Year Research-status Report
地域創生のために「自治力」を起点とするまちづくりの新展開:水俣病被害地域を中心に
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15K11982
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
岩橋 浩文 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 室長 (70738806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域創生 / 自治力 / 地域資産 / 公共的な利益 / 未来思考 / まちづくりの法と政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における「地域創生」は、地域社会の変化やライフスタイルの多様化が急速に進展する中で、「長期的・広域的視点から地域にあるものを活かして」めざす地域社会像を実現することである。これらの点で、社会の拡大期に行われてきた「地域再生」とは異なる。 本研究の目的は、みなまた地域(水俣市よりも広い地域単位)の地域創生に向けて、水俣市等における“まちづくりの基礎的な力”を「自治力」という概念で独自に捉え、これを起点として「未来思考のまちづくり」へと展開するための研究基盤を構築をすることである。 研究初年度である平成27年度は、水俣市等における「自治力」を、各自治体における「①これまでの政策、②市民による自治、③水俣病に由来する地域資産」の3要素から捉えるために、2つのテーマについて文献調査等を実施し、研究基盤の構築に着手した。1つ目のテーマでは、水俣市の「自治力」を捉える3要素のうち、上記①及び②について把握するために、九州内でエコタウン(環境と調和したまちづくり)の承認を国から受けた3地域(水俣、大牟田、北九州)に着目し、文献調査等を実施して各エコタウンの成否の要因を分析し、比較検討を行った。また、2つ目のテーマでは、水俣市や津奈木町の「自治力」を捉える3要素のうち、上記③について把握するために、両市町における代表的な4つの景観資源に着目し、その成り立ち、特徴、課題について比較検討し、その一部を日本景観学会にて発表した。 これらの成果は、“まちづくりの法と政策”の進展に寄与し、地域創生のための政策研究の萌芽としての意義をもつことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は、水俣市における「自治力」を捉えるために、水俣市における1992年以降の環境政策と市民自治の関連性を検証し、住民からみた問題点とその改善策を明らかにすることであった。そのため当初は、水俣市環境基本条例を研究素材として検討することとしていたが、市民自治との関連性が弱く、しかも著しい問題点が存在しなかったため、新たな研究素材として、九州内でエコタウン(環境と調和したまちづくり)の承認を国から受けた3地域(水俣、大牟田、北九州)に着目し、環境政策と市民自治の関連性を含めて地域間の比較検討を行い、概ね計画通りに実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画に沿って、平成28年度以降も引き続き水俣市等における「自治力」を捉えるための研究調査を実施する。併せて、自治体間の連携協力により地域の生活機能を確保することや、水俣病に由来する地域の資産を、地区レベルの「公共的な利益」として法的に位置づけることについても、当初予定していた研究計画に沿って、研究調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、九州内での日帰り調査が多かったため、旅費に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度からは、自治体間の連携協力や地域資産の公共的利益化に関して、全国的に先進的な自治体の調査及び資料収集にも旅費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)