2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11986
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森住 大樹 島根大学, 総合理工学研究科, 助教 (50463782)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計算量理論 / 回路計算量 / 非決定性回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
計算機の進歩とともに計算機を活用して問題を解くことが広く行われるようになり多くのアルゴリズムが開発されているが,その一方,問題の本質的な難しさについては,P対NP問題をはじめとして解明されていない事が多く残されている.回路計算量は問題の本質的な難しさを証明するのに有力と考えられている手法の一つであり,30年以上に渡り広く研究が行われている.本研究では,一般の回路計算量の下界と非決定性回路との関係から非決定性回路に着目し,その研究を確立することで,難問とされている問題の難しさに関する未解決問題の解決へとつなげることを目的とする. 昨年度に非決定性計算がU2回路でパリティ関数を計算する場合には役に立たないことを意味する成果を得ていたが,本年度は,非決定性計算がU2回路を含む様々な計算モデルにおいて対称関数を計算する場合に役立つかを明らかにする問題に取り組んだ.対称関数はある性質を持つ論理関数の集合であり,パリティ関数は対称関数に含まれる.計算モデルが定数段数回路,論理式,分岐プログラムの場合において成果を得ており,今後論文としてまとめる予定である.この研究は,P対NP問題のNに相当する,非決定性計算の理解を深めることにつながるものである.また,それ以外には,非決定性回路を利用するアプローチで,近年盛んに研究が行われている論理回路の充足可能性問題に取り組み,今後の研究の展開に期待が持てる知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度には順調に最初の研究成果を国際会議COCOON'15において発表し,その後も成果は挙がりつつあるものの,2年目となる本年度中には成果発表には至らなかったため,「やや遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れていることを除けば研究計画の遂行に支障は生じておらず,計画に沿って研究を推進する.
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Causes of Carryover |
研究成果は挙がりつつあるものの本年度中には成果発表に至らず,当初は主に成果発表のための旅費等に使用する計画であったが,経費を必要としなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる次年度は成果発表を多く予定しており,次年度に使用する研究費は,成果発表のための旅費,国際会議登録料,英文校正費,その他必要な物品の購入等に使用する計画である.本研究は理論研究であり特別な装置などは必要なく,当初の計画から成果発表のため必要となる経費の割合が比較的大きいものとなっており,当初の計画に沿って使用する計画である.
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