2015 Fiscal Year Research-status Report
高機能ネットワーク型オンデマンドマルチビューストリーミングに関する研究
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15K12018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 尚 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (90201201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 悠介 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20533136)
猿渡 俊介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50507811)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビデオストリーミング / 情報ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は,マルチビュービデオの高機能化のために,主に転送部に関する研究として1) 伝送中のデータ損 失に対処した伝送手法,2) バッファリングを活用した伝送手法に関する研究に着手した. 1) 伝送中のデータ損失に対処した伝送手法 ① 複数の伝送路(マルチパス)を利用した伝送手法:ユーザへの 映像伝送中に生じるデータ損失によって,マルチビューエラー伝播によって受信映像品質が急落することが分かっている.本研究では,あ る映像データを複数の伝送路(パス)を用いて送信するとともに,受信側でサリエンス等の代替・補間技術を用いることで高映像品質を達 成する通信制御手法を考案する.基礎評価から,映像品質を約15 [dB]維持できることを示した. ② 無線通信路における伝送手法:無線通信路においては,周囲の ノイズや環境の影響で利用可能な通信路ごとにデータ損失の起こりやすさが変化する.本研究では,無線通信路の品質差異,映像データの 損失時の影響を考慮して適応的に映像データを無線資源に割り当てる伝送手法を設計した. 2) バッファリングを活用した伝送手法 YouTubeやHuluなどのアプリケーションでは.映像をバッファリングしながら映像を再生するプログレッシブダウンロードが 用いられている.本手法をマルチビュービデオ伝送に適用した場合,再生停止やデータ量の増大が生じる.本研究では,再生停止および データ量を軽減するために,ユーザのカメラ切り替え方法に応じた2種類のスケジューリング手法を提案する.これらのスケジューリング方法を用いることで,約54.9%のデータ量削減お よび95.0%の再生停止を抑制することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)①については,基礎的な方式設計を行うとともに,名古屋大学 が提供するマルチビュービデオシーケンスとMATLABを用いた性能評価から,既存手法より15 dBの品質改善が得ら れたことを確認した.また複数の伝送路に対してQoS制御を用いることで,伝送路間の品質差異を生み出し,各伝送路に映像データを適応的に割り当てる伝送手法 についても提案および評価を行った.これらの研究成果は,国内の研究会にて発表を行ったとともに,本分野における著名な国際会議であ るIEEE ICC2016への採択が決定している.現在は,ギルバートエリオットモデ ルなどを用いた性能評価を進めることで,国際学術論文誌への投稿に向けた準備を進めている. 1)②については,高品質維持を達成する方式設計を行った後,MERLが提供するマルチビュービデオシーケンスとMATLABを用いたシミュ レーション評価から,既存手法に対して大幅な品質改善が得ることができた.また,実環境における方式の性能を議論するために,ソフト ウェア無線機USRP N200を通してトレースした無線通信路品質を用いてシミュレーション評価を行い,提案方式によって約2.7 dBの品質改善が得られることを示した.これらの研究成果は国際学術誌IEICE Transactions on Communicationsにて発表済みである. 2)については,データ量および再生停止を軽減する基礎的なスケ ジューリング方式を提案するとともにMERLのマルチビュービデオシーケンスを用いた評価から,再生停止の軽減とデータ量の削減をともに達成できるこ とを示した.これらの成果は,国内学会にて発表済みであるとともに,現在,国際会議への投稿を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は主に1) 複数の伝送路(マ ルチパス)を利用した伝送手法,2) バッファリングを活用した伝送手法に関して,より実環境に近づけた詳細な評価を進めていく予定である.ま た,撮影部の無線化に向けた研究として 3) 携帯ネットワーク上での映像伝送方式の開発に取り組む予定である. 1)については,より現実的な環境下における提案手法の映像品質 を評価する.具体的には,ランダムロス環境だけでなく,ギルバートエリオット,拡張ギルバートエリオットモデルを用いたバーストロス 環境下での提案方式および既存方式の映像品質,OpenFlowとMERLが提供するマルチビュービデオシーケンスを組み合わせた提案 方式の実験評価に取り組んでいきたいと考えている.また,これらの研究成果をまとめて,国際学術論文誌IEICE Transactions on Communicationsに投稿する予定である. 2) については,より大規模な環境下での評価に取り組む予定であ る.現在は,短時間・低解像度・少数カメラのビデオシーケンスを用いて性能評価を進めている.今後は,長時間・高解像度・多数カメラ で構成されたテストビデオシーケンスの利用を進めるとともに,伝送中のデータ損失を考慮した環境,他ユーザの影響によって伝送レート が変動する環境における提案手法および既存手法への影響を評価する.また,これらの性能評価を通して得られた成果をまとめて,本分野 で著名な国際会議であるIEEE GLOBECOM 2016等への投稿を行っていく. 3) については,より多くのカメラ映像を無線回線を通して効率的 に収集するために,撮影機器間の映像類似度および無線通信におけるオーバーヒアを活用した伝送手法の設計を進める.現在は,MERLのテストビデオシーケンス,マルチビュービデオエンコーダJMVCを使った基礎評価 から,既存方式と比較して映像収集に要するデータ量を約46%削減できることが得られている.
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Research Products
(4 results)