2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模時空間情報の解析処理・可視化手法の提案とその実装
Project/Area Number |
15K12026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河口 信夫 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10273286)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | データ可視化 / IoT / IoE / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
実社会の至るところで様々なデータが容易に取得可能になりつつある現在、特に時空間データの分析、活用を行う情報処理の必要性が高まっている。任意のデータには、その生成された時刻及び場所を付与することが可能であるため、すべてがインターネットにつながるIoE(Internet of Everything)の利用が普及すれば、時空間情報は大量に収集される。しかしながら、時空間情報は3次元空間+時間次元の4次元上にマッピングされる情報であるため、その扱いは容易ではない。本研究では、大規模な時空間情報を容易に扱うための新しい時空間情報解析処理システムの構築を目指す。初年度は、本研究の方向性を決めるための探索の年と位置付け、基礎的な情報処理を中心に、時空間情報処理の多様な可能性について検討した。具体的には以下の項目を実施した。特に解析処理:時空間情報の基礎的情報処理の探索を行う。 ○時空間情報の重畳:時空間情報には、時間を変えて重ねて解析しても良い性質があることがわかっている。具体的には異なる日の同じ時間、曜日、季節(時期)などが挙げられる。これは実世界が人の行動パターンに従い変化しているためで、この性質を利用した解析技術を検討した。具体的なデータを利用して可視化のバリエーションを検討した。 ○データ型自動判断:日付や時刻、ID、位置(緯度・経度, X-Y座標)といった単純なデータ項目について、入力データや項目情報から自動的に判断し、解析可能性のある統計処理(件数、合計、最大、最少、平均、分散等)についても自動実行する手法を検討する。これにより、解析処理の基礎的な部分の省力化が可能になり、初心ユ ーザでも高度な分析が行えるような手法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データ分析・可視化の研究を推進するためには、様々な分析を行う必要のある生データの取得が重要である。データ収集を行うために、特定非営利活動法人 位置情報サービス研究機構(Lisra)と協力し、G空間EXPO2015における屋内位置情報サービス実証実験や、名古屋栄におけるセントラルパークなどで、O2Oデジタルマーケティングに関する実証実験を行った。これにより、大規模なデータ収集が実施でき、現在はそれらの分析を進めている。データ量が膨大であることや、必要なデータが一部欠落していたなどの、データ収集おける問題はあったものの、データ分析手法に係る研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、特徴量抽出などの高度な解析処理を検討すると同時に、位置情報サービス研究機構(Lisra)と協力し、実世界データを対象とした実世界知覚の有効性を示すための対象を検討する。 時空間情報の特徴量抽出:実世界知覚としての時空間情報において、有用な特徴量を検討し、機械学習や、パターンマッチング等の実現を目指す。例えば移動経路のような時空間情報においては、速度や加速度、転回速度、カーブ半径など、様々な特徴量が考えられる。これに加えて、時空間情報に付与された情報(例:グリッド毎の混雑度、バスの乗降者数、タクシーの実車・空車割合、車の燃費やブレーキon/offなど)についても、その情報の種別によって、得られる特徴量は異なる。また、時間粒度や空間粒度を変化させるだけでも、特徴量の取得方法には変化が生じる。様々な情報を時空間という切り口で整理し、特徴量を検討することにより、実世界知覚としての認識技術や検索・パターンマッチング技術が実現できる。いわゆる交通量予測や渋滞予測といった予測も時空間情報を用いた実世界のモデル化の成果として実現できる。 データ型の自動判断の高度化:最近では、オープンデータなどで多様な統計情報が公開されつつある。自治体などのエリアや住所などで表記されたデータであっても、エリアの空間との対応関係を示し、その取得された時期を付与すれば、時空間情報となる。このように基礎的なデータ型(自治体エリア、住所)の推定に基づき、座標やエリアを付与し、その上に複数の情報を組み合わせた時空間情報の生成手法の検討を行う。センシングデータで得られる生データだけでなく、様々な統計情報を、時間と空間を適切に合わせて重畳することにより、より高度な解析が可能となると同時に、新しい発見が期待できる。
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