2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12032
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
高橋 成雄 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (40292619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 正俊 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30202758)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可視化 / 地図学 / 視覚メタファー / 抽象データ / 疎性化 / 地図設計原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,コミュニティにおける人の相互関係などの抽象データを,図式的路線図の設計原理を新たに定式化し直すことで,地図画像として可視化する手法を構築することにある.一般的に,図式的路線図を用いた視覚的比喩(メタファー)は,路線図自体が我々の生活に根付いているため,ネットワークを直接描いた可視化表現よりも可読性が高い.しかしながら,通常の抽象データに潜むネットワーク構造と,路線図ネットワーク構造の間には,ノードの接続性の粗密の差があるため,今までは人が恣意的に入力抽象データから重要な構造を手で抽出し,路線図表現へと変換を行っていた.本研究では,与えられた中小ネットワーク構造を粗性化して,粗ネットワークの疎ネットワーク図式的路線図レイアウトを自動的に生成する手法を構築し,さらにこの路線図表現を基礎に新たな地図メタファーを導入した視覚表現を模索していく. そこで本研究では,計画全体を(A)粗ネットワーク構造の抽出,(B)図式的路線図設計基準の定式化,(C)図式的路線図に基づく可視化表現の構築の3つのサブ課題に分割して取り組んでいる.課題(A)では,与えられたネットワーク構造を簡単化するための edge の重み値として edge centrality の定式化を拡張し,ネットワークノードのクラスタリングを行い,クラスタ間のハブに対応するノードを特定することで,ノードクラスタ間の関係を粗ネットワークとして表現する.課題(B)では,疎性化されたネットワーク表現を図式化するために,バネモデルに基づき初期配置を求め,図式化のための設計基準を定式化し,注釈の配置の最適化を行う.課題(C)では,得られた図式的路線図配置を基礎とした視覚メタファーの新しい表現を考案し,タグクラウドや画像モザイクなどの表現を通じて実現を図る.それぞれの課題について現在までに進捗を得ており,その詳細については後述する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初は課題(A)と課題(C)を優先して行う予定であったが,諸事情があり結果的には3つのすべての課題適応的に進捗を図ることとし,ある一定の成果を得ている.課題(A)「粗ネットワーク構造の抽出」に関しては,edge centrality に基づく定式化及びノードのクラスタリングに関しては基礎的な実装は完了しているが,そこからクラスタ間のハブに対応するノードを同定する部分に関しては,今後対応する予定となっている.また,より多くの具体的な抽象データに対して,疎ネットワーク構造の抽出の定式化および実装の評価作業についても今後の課題である.課題(B)「図式的路線図設計基準の定式化」に関しては,入力として仮想的に準備した疎性化ネットワークの例を利用することで予想以上の進捗があり,特に図式化された路線図表現の生成するための設計基準の定式化については十分な検討を行うことができた.加えて,バネモデルを用いた初期位置の計算や注釈ラベルの配置の最適化についても,さらなる評価作業は必要ではあるが基礎的な手法の構築は完了済みである.課題(C)「図式的路線図に基づく可視化表現の構築」については,図式化した路線図表現を実際にタグクラウドや画像モザイクなどの視覚表現に変換する部分はまだ着手したばかりであれうが,そのような視覚表現をよりわかりやすく強調して生成する手法を,対称性顕著度(saliency) マップの概念を用いて行う部分については成果を得ており,この部分の評価作業から適切な視覚表現に変換できれば,かなり視認性の高い抽象データの視覚表現が得られることが確認できた. 全体として,事前の研究計画と比較して進んでいるところ遅れているところがバランスが取れている状態であり,概ね研究は順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,研究計画全体のにおいていくつか未完了の部分が部分的に存在しているが,手法全体の枠組みとしてはひと通り筋が通り全体像が見えている状態でありため,技術的な課題が生じたとしても,それは局所的なものに限られ研究計画全体に問題が生じる可能性は既に排除できている状態である.そのため,今後は手法全体のパイプラインにある局所的なギャップ(未完了部分)に関して着手するとともに,最終的に手法全体の評価作業を行っていく予定である. 以下,各課題について詳細を記載する.まず,課題(A)「粗ネットワーク構造の抽出」においては,edge centrality に基づく定式化及びノードのクラスタリングの高度化を図るとともに,クラスタ間のハブに対応するノードを同定について定式化を行う.課題(B)「図式的路線図設計基準の定式化」においては,バネモデルを用いた疎性化ネットワークの初期位置の計算や図式化路線図に変換されたあとの抽象データにおける注釈ラベルの最適配置について,高度化を図る.さらに課題(C)「図式的路線図に基づく可視化表現の構築」については,図式化した路線図表現を実際にタグクラウドや画像モザイクなどの視覚表現に変換する部分について,取り組んでいく.また.その際必要な参照テキストや画像などにデータについては既に収集作業を作業を進めており,今後も継続して行っていく. 以上の作業を通じて全体の処理パイプラインが完成したのちには,様々な抽象ネットワークデータの入力に取り具体的な視覚表現への変換作業を行い,まず手法としての頑健性を高めていく.さらにそれと同時に,注視点計測装置などを用いたユーザスタディによる評価作業を進め,手法全体の高度化も図っていく.
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Causes of Carryover |
当初H27年度に想定していた,課題(A)と課題(C)の最終段階で行う評価作業を先送りし,課題(B)の内容を先に取り組むこととした.そのため,評価作業に使用予定の謝金と成果発表に伴う旅費や学会登録費の一部を使用することなく,H28年度の使用に回すこととなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度においては,手法の定式化に加えて評価作業等をすすめるため,その謝金として予算を使用する.また,得られる結果をまとめ積極的に対外発表を行うこととし,そのために必要な旅費や学会登録費として,予算を計上する予定である.具体的に想定している発表機会として,20th International Conference on Information Visualisation 2016 (IV2016), 9th Symposium on Visual Information Communication and Interaction (VINCI2016) などの国際会議を予定している.
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[Journal Article] Designing and Annotating Metro Maps with Loop Lines2015
Author(s)
Hsiang-Yun Wu, Sheung-Hung Poon, Shigeo Takahashi, Masatoshi Arikawa, Chun-Cheng Lin, and Hsu-Chun Yen
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Journal Title
In Proceedings of the 19th International Conference on Information Visualisation 2015 (IV2015)
Volume: NA
Pages: 9-14
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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