2016 Fiscal Year Research-status Report
自己充実指向を打開する「勇気づけ」の工学的モデリングと実証
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15K12051
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
野澤 昭雄 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (70348465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 達也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70341229)
石川 智治 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 勇気づけ / メッセージング / セルフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,前年度に実施したM-GTAに基づく心理学の質的研究によって明らかとなった「勇気づけ主体(自己/他者)」と「勇気づけ方法(直接/間接/環境)」の二要因から構成される「勇気づけの構造」に基いて,「勇気づけ」の生理心理的効果を定量的に明らかにするための実験的検討を実施した。具体的には,(1)他者による直接的な音声言語メッセージングによる「勇気づけ」の効果の心理的評価,および,(2)自己による直接的な視覚情報提示による「勇気づけ」の効果の生理・心理的評価を行った。(1)については,勇気づけに関連すると想定される様々なキーワードを含む言語的メッセージを他者から提示した場合に生じる勇気づけの効果に関して,「がんばる」「自信」「勇気」「楽しい」「幸せ」のキーワードを抽出し,特に「自信」「勇気」「幸せ」キーワードを含むメッセージに有意な勇気づけ効果が確認された。また,(2)については,いわゆる「自撮り写真(以下,セルフィー)」の視覚的フィードバックによる生理・心理的効果に関して,撮影時の心理状態と撮影したセルフィーに対する外見的評価の因子分析により「セルフィーの肯定感」と「撮影時の幸福感」が主要因子として抽出され,さらに,特に「撮影時の幸福感」因子が高いセルフィーを視覚的にフィードバックした場合には,有意な快感情の増幅と交感神経系の抑制効果が確認された。以上より,言語的メッセージングおよび自己顔フィードバックによる勇気づけの効果が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
勇気づけの具体的方法として当初の計画通りメッセージングによる方法の心理的効果を確認することができた。また,自己顔フィードバックについては,勇気づけに至る心理的な効果と考えられ,今後の研究に多いに生かされる革新的な成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,言語的メッセージングに関しては,音声言語の効果,感情要素の効果,性別による相違を実験的に明らかにして,言語的メッセージングによる方法を「勇気づけメソッド」として確立する。また,自己顔フィードバックによる方法については,昨年度確認された生理・心理的な変化が実際「勇気づけ」として機能し,困難に立ち向かう行動を喚起するかどうか,実験的検討を通じて明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であったが未実施であった音声言語メッセージングによる勇気づけ効果の実験的検証に必要とされる録音再生機器一式の購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
音声言語メッセージングによる勇気づけ効果に関する実験に使用する音声メッセージの録音および再生に使用する機器の購入に充当する。
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Research Products
(3 results)