2015 Fiscal Year Research-status Report
ドラム打叩動作における身体の協応と熟達に関する研究
Project/Area Number |
15K12053
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古山 宣洋 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20333544)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 協応 / 熟達 / 身体 / ドラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ドラムの打叩動作について熟練者と非熟練者の比較を行うことにより、正確な打叩動作を成立させている機序を明らかにすることを目的としています。先行研究においては、打圧および手首の屈伸に関わる拮抗筋群の表面筋電など局所的なデータや、それらの位相の安定性などを検討するにとどまっています。しかし、巧みな目的動作の背後には、命令-実行結果を1対1とする制御機構ではなく、むしろ逆に多様な命令を繰り出し、命令-実行結果を多対1に調整するシステムが存在し、また局所ではなく全身の環境への定位が調整の基盤になっていると考えられます。本研究では、熟練者が、環境(撥、打面、床面)への身体の定位を調整しながら協応させることで、撥のダイナミクスを殺さず、撥の周期・強度をより安定なものにしていることを実証します。 平成27年度は、研究計画で目標とした実験1・実験2を実施しました。結果としては、上記の予測どおり、ドラム熟練者は、命令-実行結果を1対1とする制御機構ではなく、むしろ逆に多様な命令を繰り出し、命令-実行結果を多対1に調整するシステムを有していることが示唆されました。一方、素人は、多様な命令を繰り出しますが、結果が1に定まりません。 これらの結果については、実験実施に協力してくれた学生の卒業論文として纏めました。今後は、当該学生を第一著者とした論文として専門誌に投稿することを予定しています。また、残された実験については、実験1・2で得られた成果も踏まえつつ、適宜デザインを修正しながらより良いものにしつつ、実施していく予定です。 これらの進捗状況を踏まえ、本研究プロジェクトは、学術的にも、教育的にも有意義であると考えています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究計画で目標とした実験1・実験2を実施しました。結果としては、上記の予測どおり、ドラム熟練者は、命令-実行結果を1対1とする制御機構ではなく、むしろ逆に多様な命令を繰り出し、命令-実行結果を多対1に調整するシステムを有していることが示唆されました。一方、素人は、多様な命令を繰り出しますが、結果が1に定まりません。これらの結果については、実験実施に協力してくれた学生の卒業論文として纏めました。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該学生を第一著者とした論文として専門誌に投稿することを予定しています。また、残された実験については、実験1・2で得られた成果も踏まえつつ、適宜デザインを修正しながらより良いものにしつつ、実施していく予定です。
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