2015 Fiscal Year Research-status Report
生態相互作用と融合した省電力型な動物装着型センサ・ネットワーク機構
Project/Area Number |
15K12058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬崎 薫 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (10216541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 博樹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (60610649)
工藤 宏美 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任研究員 (80649757)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | センサネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「生態相互作用と融合した省電力型な動物装着型センサ・ネットワーク機構」の実現を目的とする。従来の動物装着型センサノードは、生息地特有の電源・情報インフラの制限やセンサ搭載可能重量の限界から、ノード間通信等を長期的に行うことが困難だった。そこで本研究では、動物の生態相互作用に着目した。具体的には、複数個体間の生態行動学的な相互作用を「検知」した場合にのみノード間通信をアクティブにし、それ以外の時は常にスリープ状態とするシステムを設計・開発する。本提案により「野生動物自身がセンサを持ち歩き、単独行動時に取得したデータを、集団行動時に省電力で共有・回収するシステム」実現する。これにより、高線量地域の計測空白域の生物多様性情報を長期・自律的に取得する基盤が実現する。H27年度は、集団行動時に省電力で共有・回収するシステムである)「動物間ネットワークシステムの構築」を行った。具体的には、野生動物の生態相互作用を利用したセンサノード間通信の省電力化を実現した。 センサノードがお互いの通信半径内に存在する「検出」の機構と「メッセージ配信」の機構,またこれらを用いた広域生態情報観測システムを設計・プロトタイプ開発した.これは複数個体が遭遇し威嚇行為を行う,といった相互作用の特徴量を3軸加速度センサで合成加速度として取得し, 閾値設定により通信開始を判定する. これにより,センサ通信部を常にスリープ状態とすることが可能となり,飛躍的な省電力化を実現した. そして,連携研究者が研究室で飼育する複数の犬を用いて有効性評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度課題である「動物間ネットワークシステムの構築」について、[A-3] 動物間ネットワークシステムを用いた広域鳴き声情報の取得機構の設計の箇所について遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
[B-1] 動物間ネットワークシステム用の身体構造に最適化した装着型センサノード開発:野生動物に搭載可能なセンサ総重量は,その体重の5%程度が上限と定められている.平成27年に設計した機構を,分担研究者が2007 年にイリオモテヤマネコ用に開発したシステムを参考に,専門家と連携して動物装着型センサノードとして開発を行う. [B-2] 動物間ネットワークシステム用の生息地環境条件に適応した評価シンクノード開発:分担研究者が2007 年にイリオモテヤマネコ用に開発したシステムを参考に,評価用 シンクノードを開発する. [B-3] 動物間ネットワークシステムの有効性フィールド評価と技術的必要要件のとりまとめ:上記の知見とこれまでの研究成果に基づいて、“動物間ネットワークシステム“を福島県阿武隈山地北部地域に生息する動物に実装し実証実験を行う。
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Causes of Carryover |
本務多忙のため、H27年度課題である「動物間ネットワークシステムの構築」について、[A-3] 動物間ネットワークシステムを用いた広域鳴き声情報の取得機構の設計の箇所について遅れが発生したため次年度使用額519,770円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度実施予定だった[A-3] 動物間ネットワークシステムを用いた広域鳴き声情報の取得機構の設計の箇所については、H28年度4月に実施する。
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