2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 圭介 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (20733108)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文字提示 / ヒューマンインタフェース / 触覚技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における目的は、触覚刺激のみで文書を読むことのできるデバイスの開発にあり、その実現方法として、ユーザに筆記動作を追体験させる方略を取った。 我々は本年度、おおむね7mm四方の領域内での小文字アルファベットの筆記軌跡をユーザの把持するペンを介して提示することで85%以上の認識率を達成できることを実験的に明らかにした。これは5分ほどのトレーニングをユーザに課すだけで実現されたパフォーマンスであり、文字の高さを14mmにすることで認識率は90%以上に達する。また、これは1文字1秒というペースで軌跡を提示した場合のパフォーマンスである。これらをまとめると、普段の筆記動作における文字の大きさと筆記速度で軌跡を提示すれば認識においては十分であるということが結論付けられた。 この、比較的小さなワークスペースにおける動作で十分に文字を伝えられるという本方式の利点を生かし、2軸の超音波リニアアクチュエータと振動子を搭載した片手で把持してアルファベットを読むことのできるモバイルデバイスの試作を行った。試作したデバイスにおいて、様々な把持姿勢についてユーザの文字読みの正解率を実験的に求めたところ、手首の向き以外の把持姿勢の影響は認識率に表れないことがわかった。これらの成果により、当初の目的である触覚で文字が読めるモバイルデバイスの実現に向けた一定の進捗が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案方式によって文字を提示するモバイルなデバイスの試作および評価が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
提案方式により、単一の文字をユーザに提示することについては可能であることが示された。一方で、実用的な文書リーダーとしての研究開発という観点においては解決すべき問題が多いと考える。具体的には、単語の提示、語間の区切り記号の提示、改行や文章の終点の提示などが挙げられる。また、ユーザが能動的に文書上のカーソルを動かしながら文書を読んでいくというようなインタフェースの設計も重要な開発事項である。 これらは現状の手法を生かしながら、それに付随する開発事項としての課題であるが、一方で、少し異なるアプローチを試みることも予定している。文字を書くという動作による文書提示は、その提示ペースにおいて実用上課題が残っている。そこで、触覚と文字の入力とを結び付けた別の動作によって同様に文書を提示する新しい手法の探索も並行して行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に研究遂行上の必要性から購入した物品の端数額として、やむを得ず残ってしまったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2,571円と少額につき、来年度の物品購入の際に併せて使用する。
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