2015 Fiscal Year Research-status Report
合成生物学的に実証可能な隣接細胞間通信系による多細胞アナログ/デジタル計算
Project/Area Number |
15K12092
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 雅幸 東京工業大学, 大学院 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00220442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成生物学 / 多細胞生物 / セルオートマトン / 細胞間通信 / 結合振動子 / チューリングパターン / 微生物マット |
Outline of Annual Research Achievements |
自然計算としての合成生物学は、多細胞生物をターゲットとできる段階に入ったが、均一に混合された空間構造を持たない細胞集団を小分子で制御する段階にとどまっている。空間構造を作る細胞群のモデルは、ピュア・アナログなチューリングの反応核酸方程式か、ピュア・デジタルなセルオートマトンをベースとしてきた。実際の細胞の挙動は個体差や少数揺らぎが大きく、これらのピュアなモデルでは実証できていない。本研究では、合成生物学的に実証可能な多細胞計算のモデルを提案する。隣接する細胞が分子チャンネルを通じて情報交換する隣接細胞間通信系を用意する。その上で結合振動子を実現し、チューリングパターン様の2次元構造の構築について計算機シミュレーションする。同時に生物学的実装についての評価実験も試みる。 本年度は、2次元平面に配置された結合振動子によってチューリングパターン様のパターン系をを実現するモデリングとシミュレーションを行った。また、温泉に産する複数の微生物種が層をなす微生物マットを題材として、単純化された2次元平面セル構造上での非平衡解放系としてのモデリングとシミュレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で取り上げた、アナログ計算からのアプローチとしての、2次元隣接細胞通信系における結合振動子の挙動のシミュレーション、は完成した。一方、デジタル計算からのアプローチとしてのアモルファス計算は遅れ気味である。また生物学的実装実験は困難であることがわかった。その反面、当初計画になかったが関連する微生物マットの非平衡解放系モデリングとシミュレーションに大きな進展が見られた。このためおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、(1) 2次元隣接細胞通信系における結合振動子の挙動のシミュレーションについては、数理モデルを遺伝子回路の挙動に忠実となるように詳細化することを検討する。ジレスピーの方法による確率過程シミュレーションを試みる。細胞の個体差や分子の少数揺らぎの影響を調べる。(2) 2次元隣接細胞通信系におけるアモルファス計算のシミュレーションについては、確定動作のセルオートマトンから始めて、集団としての挙動が誤動作・故障にどれほど耐性を示すか調べる。(3) 2次元隣接細胞通信系の生物学的実装の評価実験については、温泉での微生物マットの形成実験を含めて、実現可能な生物学的実装について再検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画のうち、2次元隣接細胞通信系における結合振動子の挙動のシミュレーションを今年度完成し、アモルファス計算のモデリングとシミュレーションを次年度に繰り越している。チャネルによる細胞間通信の生物学的実装実験は困難であることがわかったが、関連する微生物マットの非平衡解放系モデリングとシミュレーションに大きな進展が見られた。微生物マットの生物学的実装実験を次年度に組み入れるために必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2次元隣接細胞通信系の生物学的実装の評価実験のかわりに、簡易型の屋外放置装置を用いた、温泉での微生物マットの形成実験を行う。屋外環境での予備実験を9月までに終わらせ、そのデータに基づいて、2次元層状セル構造による非平衡解放系としての数理モデリングとシミュレーションを行う。
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Research Products
(1 results)