2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12093
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
西本 一志 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50313721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知識の再利用 / 知識ベースシステム / 文書作成 / 知識創造 / 棄却文塊 / 音楽作曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成28年度)は,前年度後半に開始した,カードベースで文塊群を執筆し,これらを並べ替えて時系列を入れ替えたり,使用する/使用しないを決定したりすることができる新規な文書作成環境の実装を継続して実施した.当研究室所属学生による研究計画書の作成など,実験のためだけに用意したのではない,実際の日常的業務の中で必要となる文章作成行為に本システムを適用し,棄却文塊を収集する実験を繰り返し実施した.個々のカードの内部での小規模な編集行為によって削除される棄却文塊(これをF-DTFと呼ぶ)と,カード全体を不使用とすることで得られる棄却文塊(これをR-DTFと呼ぶ)の両者を,それぞれに区別しつつ収集した.その後,各文塊の作成者およびそれ以外の第三者に依頼して,各棄却文塊の有用性評価を行ってもらった.この結果,カード全体を不使用とすることで得られるR-DTFの方が圧倒的に高い割合で有用と判断されることが明らかになった. 上記実験の中で,ユーザによっては実験者らが全く想定しなかった特有のカードの使い方をする場合が見られ,場合によっては本研究で収集したい棄却文塊をうまく収集できないケースもあった.このため,実験を実施する都度,ユーザによるシステムの使われ方を分析して,たとえ教示を与えずとも,ユーザが実験者らの期待どおりに文塊の作成・棄却を行うように仕向けるためのインタラクションデザインを反復的に実施している. さらに,当初は実験システムをWindows OS専用のアプリケーションとして開発していた.しかし,OSに依存しない汎用性の向上のためと,収集した棄却文塊を複数のユーザで共有することを容易にするため,本システムをWebアプリケーションとして実装する作業を現在進めている. このほか,文書作成以外への応用として,音楽作曲への提案手法の適用を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,平成28年度に予定していた以下の研究計画を達成している:1)平成27年度に開始した提案システムの実装の継続とブラシュアップ,2)現実の研究室活動(プロポーザル作成や論文執筆等)に本システムを適用した実運用実験を実施し,どのように棄却文塊が活用されるかについて分析 さらに,当初計画を超える以下の進捗を達成している:1)棄却文塊をF-DTFとR-DTFの2種類に分け,それらの差異を明らかにした,2)Webアプリケーションとしての実装を開始し,現段階までにほぼ実装を完了した,3)文書作成以外への応用として,音楽作曲を対象としたシステムを実装し,基礎的な評価検証を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,平成29年度(最終年度)は,平成28年度に引き続きシステム(Web版)の実装を継続し,これを用いた多様なユーザを対象とした評価実験を実施する. さらに,開発したWeb版を公開し,多くの一般ユーザに使用してもらえるようにすることを検討する.併せて,一般ユーザからのデータ収集と,このデータに基づく有用性検証の実施についても検討する. また,プレゼンテーション用のスライド作成を対象とした,提案手法の新たな応用についても検討を進める予定である.
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