2017 Fiscal Year Annual Research Report
Supporting cooperative knowledge creation by utilizing deleted text fragments
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15K12093
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
西本 一志 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50313721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知識の再利用 / 知識ベースシステム / 文書作成 / 知識創造 / 棄却文塊 / 不用知 / 不要知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成29年度)は,前年度に実装を完了した棄却文塊収集機能を有する文書作成支援システムTextComposTerを用いた,詳細な有用性の評価検証実験に集中した.本システムは,文書作成の上流工程から下流工程までを一貫して支援する機能を有し,特に文書作成の上流工程で行われる試行錯誤的な文章執筆作業で生じる,ある程度のまとまった内容を有する棄却文章塊を収集する機能を有することを特徴とする.比較対照システムとして,ごく一般的な文書エディタに,削除された文字列を収集する機能を有するシステムを用意した.この両システムを使った文書執筆実験を実施した結果,以下のことが明らかになった:1)いずれのシステムを用いた場合でも,文字数が少ない棄却文塊が大量に生成され,文字数が増えるに従って生成される棄却文塊の数は急激に減少する.2)比較対照システムによって取得される棄却文塊のほとんどは50文字以下であり,そのほぼすべてが再利用の可能性は低いと評価される.3)TextComposTerによって取得される棄却文塊の大半は,再利用の可能性が高いと評価される.4)再利用の形態としては,取得された棄却文章がそのまま別文章の中に組み込まれるのではなく,別文書作成の最初期段階における発散的なアイデア生成の種として用いられる.5)棄却文章塊の生成者と,棄却文章塊の利用者との関係性には,特定の傾向は認められない.たとえば,生成者と同一の研究室に所属する利用者が,当該生成者が生成した棄却文章塊の再利用性を高く評価するとは限らず,ケースバイケースである. 以上から,再利用性が高い棄却文章塊を効率的に収集する方法が確立され,さらに収集された棄却文章塊の再利用形態が明らかになり,本研究の当初の目的が達成された. この他,ブレインストーミングでは禁止されている不要知としての「批判的意見」の有用性について検討した.
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