2015 Fiscal Year Research-status Report
話し手の語る意欲を高めるパーソナルロボットの傾聴技術
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15K12095
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 茂樹 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (20303589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 剛士 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303693)
大野 誠寛 名古屋大学, 情報基盤センター, 助教 (20402472)
村田 匡輝 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 助教 (30707807)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音声対話 / パーソナルロボット / 自然言語処理 / コーパス / 傾聴 / 音声言語処理 / 語り / 発話生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生活に溶け込むパーソナルロボットの実現に向け、話し手の語りを傾聴する会話機能の実現性、及び、その効果を検証することを目的とする。そのために初年度は、本研究の全体を支える研究基盤として、傾聴発話を含む語りのデータの整備とその分析を進めた。具体的には、以下の項目の研究を推進した。 1.会話ロボットにおける傾聴性の一機能として、ユーザとの会話におけるロボットによる繰り返し応答の生成について検討した。繰り返し応答とは、発話を構成する形態素列が直前の発話に含まれる発話であり、本研究では特に、対話の進行を調整する機能、及び、提示された情報を承認する機能を対象とした。既存の対話データに対して繰り返し応答を付与したデータを作成し、繰り返し応答に含まれる単語の言語的な特徴や重要度との関係について分析を与えた。 2.傾聴を示す応答発話の収集、および、その分析を実施した。高齢者の語りの音声を対象とした応答発話を、作業者が聞き役に徹した応答を遂行することによって収集し、文字化、および、発話時間情報の付与を行った。また、収集した発話を、含まれる表現の種類に基づいて分類し、分類ごとの割合を調べた。収集した応答発話は,具体的な内容のやり取りを目的としない応答表現あるいは間投表現のいずれかに属し、特に、「はい」などの、情報を受け取ったことを示す相づち、「あっ」や「そうですかー」といった,聞き手の驚きや同意を示すための受けこたえが多く、応答発話の9割以上がそれらの表現で占められることを明らかにした。一方で、「話し手の発話内容に含まれる語句を用いた応答発話」「話し手の発話内容を別の言葉で言い換える応答発話」など、相手発話に応じて表現が変化するような応答も存在することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、プロジェクトの初年度として、傾聴性を備えた語りのデータについて検討するとともに、傾聴発話を音声・言語的特徴の分析に着手した。また、傾聴発話生成のための基礎技術として、会話の記録方式、及び、相槌機能を備えた繰り返し応答生成方式の検討についても有意義な成果を生むに至っており、本課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、研究資源の更なる整備として、傾聴コーパスの拡張を進める。また、拡張した傾聴コーパスにおける傾聴発話の形態とタイミングに焦点を当てた定量的分析を通して、会話における傾聴行為とその効果に関して体系化することを目指す。一方で、整備した語りのデータに基づき、傾聴方略を統計的な発話生成を基盤としてモデル化を進める。 なお、現状において研究を遂行する上での問題点などは発生しておらず、研究計画の大きな変更を要する状況にはない。
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Causes of Carryover |
本研究では、パーソナルロボット向けの有効な傾聴技術について検討することを目的とする。初年度は、本研究期間を通して使用する研究資源の整備であり、話し手と聞き手の会話からなる傾聴コーパスの構築を実施する予定であった。傾聴音声の収録及び文字化を行い、コーパスとして整備したものの、傾聴タグ付与の仕様については、傾聴方略の分類を考慮して定める必要があるとの結論に至った。このため、次年度に開始する予定であった傾聴方略のモデル化に関する研究を並行して進めるように計画を変更した。傾聴タグの付与作業は次年度に実施することとしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、傾聴コーパスのさらなる整備を進めるともに、傾聴データの分析及び傾聴発話生成のモデル化に関する研究を推進する。研究費については、傾聴タグ付与の委託、傾聴発話生成に使用する計算機購入、及び、研究発表旅費に使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)