2016 Fiscal Year Research-status Report
眼底動画像解析による脳血管障害早期発見のためのスクリーニング・システム
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15K12108
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
内野 英治 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30168710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末竹 規哲 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (80334051)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 眼底動画像 / 網膜血管 / 拍動 / 動脈硬化 / 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼底は瞳孔を通して眼球内(生体)の血管を直接観察できる人体内で唯一の部位である.眼底カメラから得られる情報により,眼疾患だけでなく網膜血管の状態がわかり,さらには,それらの状態から脳内血管の状態(動脈硬化)までも予測することが可能である.本研究では,非浸襲の眼底カメラにより網膜血管のダイナミックな拍動を直接観測し,動画像処理により網膜血管の拍動を脈派に変換,その脈派の解析により脳内血管の動脈硬化を予測するスクリーニング・システムを開発する.
平成27年度に引き続き,一般の眼科に普及している走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope: SLO)から得られる眼底血管動画の解析を行った.網膜血管の脈波から動脈硬化度の指標となる特徴量の抽出を引き続き行った.動画処理により得られた脈派が実際の脈派に近いことを眼科医に確認した.
一方静止画像解析の観点からは,Convolutional Neural Networkを用い,眼底画像内の動脈と静脈が交叉する血管交叉部の自動検出を行い,その検出された交叉部の中から実際に眼科医が注目する血管交叉部を自動的に選定し,高い精度でこれらが合致することを確認した.これにより,眼科医が注目する血管交叉部の全自動検出に一歩近づいた.さらに,その近辺血管の正確なトレースに成功し,最も難しいと言われている白内障患者の血管トレースにも成功した.また,同手法を用いてハンディカメラで撮影された解像度の低い画像からでも血管のトレースが可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般の眼科に普及している走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope: SLO)から得られる眼底血管の拍動動画像解析を順調に進めている.また,最も難しいと言われている白内障患者の血管トレースにも成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
(動脈硬化度の指標作成) 動脈硬化の進行度を定量的に評価するための指標を作成する.動脈硬化かどうかの単純な判別だけではなく,動脈硬化の進行度の指標となる特徴量を拍動波形から抽出する.血管の柔らかさは拍動の柔軟さに反映される.ここでは,拍動から抽出した脈波の動力学的な特徴を捉え,そのダイナミクスを規定するパラメータを動脈硬化度の指標とする.
(脳内血管の動脈硬化予測スクリーニング・システムへの展開) 脳血管障害で死亡した患者の眼底動画を調査することにより,網膜抹消血管の動脈硬化と脳内血管の動脈硬化の関連を明らかにし,本システムを脳内血管の動脈硬化予測スクリーニング・システムへと発展させる.これが本研究の最終目標である.これにより,CTやMRIなどの精密検査に移る前に,非常に簡便に脳血管動脈硬化のスクリーニングができる.臨床データの取得は引き続き継続的に行う.
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Causes of Carryover |
今年度の研究成果の公表が次年度が適当であると判断し,そのための経費を次年度に繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越経費総額(686,062円) 国内学会発表旅費 210,000円,国外学会発表旅費 300,000円, 学会参加登録費他100,000円,論文掲載費 48,000円,その他28,062円
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