2015 Fiscal Year Research-status Report
パルス発生する負性抵抗素子カーボンナノチューブネットワークの脳型情報処理への応用
Project/Area Number |
15K12109
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 啓文 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (90373191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリ酸POM / カーボンナノチューブ / ランダムネットワーク / パルス発生 / 脳型デバイス / カオス特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は単層カーボンナノチューブ(SWNT)のポリ酸(POM)微粒子複合体をランダムネットワークにした際に、非線形電動の相乗効果によりパルスを発生することを基に、パルス発生機構の解明やパルス発生条件の制御などを目指すものである。これまでPOM微粒子としてMo12O48を用いた時には1mm間隔の電極の両端に150Vを印加した際にパルス発生が見られた。これをPOMの濃度を3倍4倍と増やした際には各々パルス発生間隔がログスケールで増加した。これによりパルス発生にはPOMの容量が関係していることが示唆された。そこでPOMの濃度を精密に増減させるためにPOMに末端に平面分子のピレンを有するアルキル鎖を付加し同様の実験を行ったところ、SWNTに吸着するPOMの量が増加し、パルス発生間隔が広がることが確認され、前出仮定が裏打ちされた。同様にPOMの上下をポルフィリン分子でサンドイッチしたPor-POM分子を用いた。この分子はポルフィリンがドナーでPOMに電子を供給するためにパルス発生にパルス発生に必要な印加電圧が低くなったことから、パルス発生には各POMジャンクション部のキャパシターに電子が充てんされている必要があるという経験則が正しいことが確認された。以上の結果から、POMに充てんされている電子数がパルス発生に非常に密接に関連していることが分かったため、今後はさらに精密に電子数を制御しつつ自在にパルス発生ができる条件を見つけ出す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はパルス発生機構の解明のため、POMの濃度変化、POMのSWNTへの吸着数制御、電子数を制御したPOMなどを用いてランダムネットワーク中のPOMジャンクションに充てんされる電子数がパルス発生に密接に関連していることが分かった。また、得られた結果を基にパルス発生機構のシミュレーションを行い、隣り合うPOMジャンクション同士の電子のやり取りが重要であることが分かった。以上から本研究課題が計画通りに進行している。今後はパルス発生の自在制御を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はパルス発生精密制御のため、これまで得られた結果に基づき行ったシミュレーションをさらに精密に行なうことを考えている。また、シミュレーション結果に基づき、パルス信号のカオス性を解析し、CNTランダムネットワークデバイスのマクロ的挙動を理解し、カオスニューラルネットワークなどがCNTのみで再現可能かを検討することを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた低温プローバーで行う実験について、次年度に移したのでその周辺機器代として計上した約95万円について次年度で使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
低温プローバを用いた実験については8月までに行う予定であり、 繰越金もそれまでに消化することを想定している。
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Research Products
(16 results)