2016 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of spatio-temporal information processing in immune cells
Project/Area Number |
15K12138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤井 哲 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20500367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 晃子 北里大学, 理学部, 教授 (00322157)
木梨 達雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (30202039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 走化性 / 免疫細胞 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
微小流路系を用いた勾配形成によって、走化性誘引分子を高い精度で時空間的に変動、配置し、免疫細胞の運動と、先端形成に主要な役割を果たしているシグナルの活性化動態を生細胞測定から定量的に解析した。具体的には、微小流路系を用いた勾配形成によって、ケモカイン刺激を高い精度で時空間的に変動させ、ヒト好中球様HL60細胞並びにマウスproB細胞様BAF細胞の運動を定量的に解析した。微小流路は代表者らがこれまで用いてきた流路と、狭い組織内環境を模擬するために低い天井高の観察領域流路を二層のPDMSによって実現した改良型を用い、チャンバー内をフィブロネクチンでコートし、細胞を接着させ、精密な圧力制御によって変動させる勾配刺激のもと、先端形成の生細胞イメージングをおこない、その応答特性を特徴付けた。HL60にはケモカインとしてfMLP(細菌が産生するペプチド)を、Ba/f3にはSDF1を用い、刺激の可視化のためにはフルオセインまたはAlexaを用いた。その結果、初年度では細胞性粘菌でこれまでに研究代表者が特徴づけてきた進行波刺激に対する時空間特性がHL60細胞で見られることが明らかになってきた。微小管の阻害剤やRockの阻害剤などによって極性の記憶の影響の解析を進めた。2年度はそれらの解析を、様々な速度の進行波刺激で行った。さらに、Cdc42, PI3K, Rac, Rhoの活性を測定するためのFRET蛍光プローブを発現するHL60の安定株を作出し、動的勾配に対する走化性におけるこれらの分子活性の役割について解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一般に形質転換が困難であるとされてきたHL60において、安定株をルーチン的に作出することができるようになった。その結果、飛躍的にライブセルイメージング、特に本研究で要求されるような高い再現性と定量性を兼ね備えた解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの測定をさらに発展させ、特徴づけた性質がプライマリー細胞においても成立しているかなどを検証する。またCdc42の阻害剤による振る舞いの変化を解析し、メカニズムの提案を行う。これらの結果を論文として取りまとめる。
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Causes of Carryover |
論文として取りまとめるために必要な実験が残っているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用試薬と発表に関わる旅費、出版費。
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