2015 Fiscal Year Research-status Report
パーソナリティを考慮した情報推薦システムに関する研究
Project/Area Number |
15K12150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土方 嘉徳 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10362641)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソーシャルメディア / プロフィール画像 / ユーザ行動 / 推薦システム / 心理 / 発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,ソーシャルメディアと推薦システムにおけるユーザ行動とパーソナリティの関係を明らかにするに当たって,まずはソーシャルメディアにおけるプロフィールについて調査した.具体的には,ユーザがプロフィール中の画像(以降,プロフィール画像)に何を設定しているのかについて調査を行った.なぜならユーザはユーザの内面にある心理(ユーザの興味や嗜好も含む)が,画像の選択に影響を与えていると考えたからである.我々はプロフィール画像を,本人一人,本人顔隠し,本人複数人,自画像,他人,動物,風景,オブジェクト,キャラクタ,オタク(美少女キャラクタ),ロゴ,文字,たまごの13種類に分類し,その分類ごとにユーザのソーシャルメディア上での行動について分析した.ユーザ行動としては,投稿量,拡散量,被拡散量,返信量を測定した.その結果,比較的ソーシャルメディア上で自由にやり取りを行っているオタクが投稿量が多いことが分かった.また,比較的企業や組織での利用が多いと思われるロゴや文字において被拡散量が多いことが分かった.また,友達同士で撮った写真を使っている本人複数において返信量が多いことも分かった.これらの発見は,現実でのユーザのコミュニケーションとも一致することから,理解できるものである. また,上記推薦システムを実世界のオブジェクトに適用する際に必要となる,オブジェクトに関連する情報の属性名と属性値をWeb上から抽出する方法について提案し,その有用性を検証した.また,推薦システムの内部状態(すなわちユーザの興味や嗜好に関してシステムが構築したモデル)の提示が,ユーザの内面に関する発見をどれだけ引き起こすのかについて,被験者実験を行った.その結果,システムの内部状態を提示することで,自分の興味や嗜好についての新たな発見が行えることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パーソナリティを考慮した推薦システムを実現するに当たり,それに必要な属性名・属性値情報の抽出や,システム内部状態の提示がユーザの内部状態の発見にどのようにつながるのかについての検証は進められた.パーソナリティを考慮した推薦システムの開発と,その有効性の評価実験のためには,推薦対象となる商品に関する属性名・属性値情報の抽出が必要となる.これは内容に基づくフィルタリングのアルゴリズムを適用する際に必要となる.また,推薦システムの出力について設計するに当たり,ユーザに何を提示すれば,ユーザの心理状態がどのように変わるのかについても知見を得ておく必要がある.すなわち,パーソナリティを考慮した推薦システムの開発に必要な,情報の獲得方法や結果の提示方法に関する研究は,想定以上に進められている状況にある. しかし,推薦システムに必須のタスクである,ユーザのアイテムへの評価に対しての心理の影響については,検討段階に終わってしまった.これは,推薦対象として何のドメインを用いるべきかや,評価させるうえでのインタフェースとして何を提示すべきかに関する検証に時間がかかりすぎてしまったからである.したがって,研究の核となるアイテムへの評価に関する心理の影響については,かなり遅れている状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度でパーソナリティを考慮した推薦システムの開発に必要な,アイテムに関する情報抽出に関する方法と,システムの内部状態の提示方法に関する検討は大幅に進められた.今年度は,特にアイテムに関する情報抽出の容易性を考慮して,ドメインを決定し,アイテムに関する評価実験を進められると思われる.特にこの実験で,ユーザの行動をどのように検出するかについて,うまく自動化できる部分とユーザにアンケートなどで尋ねる部分とを分けて行うつもりである.自動検出が難しいデータにを取得するための方法論の開発に時間を割くのではなく,そこはある程度主観が入っていても良いので,ユーザに直接尋ねることで,研究の実施を加速させていくつもりである.
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Causes of Carryover |
実験用ソーシャルメディアサイトの実装において,ユーザからのフィードバックを入力させる投稿用フォームと周辺のインタフェースが必要であったが,別の研究で同様の投稿システムを実装したため,そのフォームとインタフェースを流用することができた.その結果,そのフォームとインタフェースの開発コストの分だけ研究費を削減することができた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度では,パーソナリティとアイテムへの評価付けに関する本格的な被験者実験を開始する予定である.その本実験に先立ち,テスト実験を行うことにする.前年度からの繰越額は,このテスト実験に用いることにして,より確実な実験ができるように準備することにする.
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Research Products
(9 results)