2016 Fiscal Year Research-status Report
数理的な移動軌跡モデルに基づく広域交通流の推定手法
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15K12153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣森 聡仁 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (90506544)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高度交通システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,複数のプローブカーデータだけでなく,網羅的な交通シミュレーションを組み合わせることにより,渋滞の規模だけでなく,道路状況を推定する手法の検討に取り組んだ.冬季に多量の降積雪を観測する都市道路網においては,積雪量や気温の変化によって路面状態が日々変動し,旅行時間が増大することが予想される.また,除雪によって路肩に積み上げられた堆雪の影響により,部分的な車線減少が長時間発生する. このような状況下において,積雪が道路環境に与える複雑な影響を定量的に把握し,交通流の観測から道路状態の変化を推定することによる除排雪作業の効率化が期待されている.本取組では,片側 1 車線道路,片側 2 車線道路,信号付き交差点において,路肩に堆雪がある際の交通流を交通シミュレーターでモデル化し,交通量(1時間あたり車両通過台数),スポット堆雪の位置と距離,路面状態を,雪道の交通量に影響を与える「雪道パラメータ」とし,これらを変化させて旅行時間を観測することで,雪道特有の道路状況が交通流に与える影響を推定する.また,堆雪の有無や路面状態の変化により,道路を通過する車両の旅行時間分布が異なることに着目し,一致度の高い分布を網羅的シミュレーション結果から探索することにより,旅行時間の観測から堆雪状況などを推定する.Leave-One-Out 交差検証による性能評価実験を実施し,(a) 片側 1 車線道路,(b) 片側 2 車線 道路,(c) 信号付き交差点の 3 つの道路に対して,旅行時間の観測のみから交通量,スポット堆雪の距離と位置,路面状態を推定した結果,交通量が 1000veh/h 程度の信号付き交差点において,交通量を7.5%の誤差,堆雪の位置を81%の正解率,路面状態を65%の正解率で推定可能なことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には,積雪都市における耐雪の状況を推定する手法を考案し,交通流そのものの推定だけでなく,道路状況の推定手法の検討に取り組んでおり,より実用的な手法としての活用が期待され,研究は概ね順調に進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成29年度においては,平成27年度に考案した交差点におけるリンク交通流推定手法,OD交通流推定手法,平成28年度に考案した道路環境手法に対し,実世界における有効性を評価する取組をすすめる,具体的には,平成27年度に実施された交通センサスのデータとプローブカーデータを用いて,様々な都市部における交通流を提案方式により高い精度で推定可能であるか評価する. また,この取組を通して得られた地域毎の相違を考慮できるよう,推定手法の改善についても取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
平成28年度は,提案手法の評価実験のためのアルバイト経費を計上していたが,道路環境の推定に取組,そのための情報収集及び会議参加費に利用したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,本年度で検討する交通流推定手法及び道路環境推定手法の有効性の評価のため,クラウド環境の利用及び成果発表のための旅費,論文投稿費等での予算の執行を計画している.
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