2015 Fiscal Year Annual Research Report
公立図書館長に求められる能力及び研修モデルの構築に関する研究
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15K12156
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
毛利 るみこ 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (70714153)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 図書館長能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,全国の公立図書館長を対象に実施した質問紙調査で回答した館長の内,在職年数1年以上の館長が属する図書館529館(県立図書館除く)に関して,日本図書館協会「日本の図書館統計と名簿」より活動実績データ(図書館費,資料費,職員数,蔵書冊数,購入図書冊数,登録率,蔵書回転率等)を抽出した。両データを紐づけし,館長の属性(資格有無,専任・兼任等の別,在職年数等)や職務・能力に関する質問紙調査の回答傾向と,図書館活動のパフォーマンスの関連を人口別に分析した。全体的な傾向として,館長の属性と図書館活動のパフォーマンスの間には顕著な関連は見られなかった。しかしながら,「貸出密度」と「人口当たり資料費」の値が上位10%にある図書館の館長は,「主催事業の企画」,「職員研修・勉強会の企画」,「図書館統計の作成・分析」等の業務への館長の関与度が全体平均と比較して高い傾向にあることが明らかとなった。 上記分析の他,館長に求められる能力等の在り方について知見を得るため,県立図書館長2名(司書職出身1名,行政職出身(有資格者)1名)に対する聴き取り調査を実施し、館長の職務、館長に求められる能力や研修内容等、県内館長研修の現状について尋ねた。 特徴的な職務として、多様な勤務体制の中での労務管理と人材養成、利用者対応や危機管理等が共通して挙げられた。図書館の専門的知識の必要性について尋ねたところ、倫理規定等の理解、サービス論や資料の理解に基づく長期的運営方針の策定が必要であること、専門知識により県の重要政策と図書館活動を結びつけやすくなること、司書業務への理解や運営に係る機微に至る議論を深められること等が挙げられた。一方、行政職の多様な経験を図書館の活動に活かす重要性が挙げられ、司書を館長として養成する場合、早期から外の団体との交流を持ち行政の手腕と知識を身に付ける必要があるとの意見が得られた。
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